ginzamagの連載「宮崎希沙のカレーノート」でおなじみ、宮崎さんによるモロッコ旅行記の第二回。前回はこちら。
宮崎希沙のモロッコ旅行記 vol.2 サハラ砂漠〜マラケシュ
12時間かけて、バスでサハラ砂漠へ
2日目、10月13日の朝。この日はサハラ砂漠へ移動する日。
なんとマラケシュから約12時間もかかるため、旅の予定を組んでいるときにそもそも砂漠まで行くかどうかはかなり迷うポイントだった。でもやっぱり、せっかくアフリカ大陸に行くならば砂漠に行かないと後悔しそう、という結論に達したので、かなり頑張って早起き。マラケシュから砂漠のほとりの街・メルズーガ(アルジェリアとの国境近く)までの移動手段は陸路しかないため、バスかタクシーとなる。
タクシーであれば2時間早く到着できるけど、バスの方が料金は割安のため、行きはバス、帰りはタクシーという選択肢に。宿泊したリヤド・house13にて1泊2日の砂漠のツアープランを組んでもらった。砂漠ツアー参加代金は、移動費別で一人当たり約950DH(1DH=28円程)。この時期、どうやら定期的にモロッコ政府が世界遺産地域であるサハラ砂漠内のテントを撤去させていたようで、実際行って見ないとどんなテントに泊まることになるかあまりわからず、ドキドキ。
行きはクオリティが良いとされている長距離移動バス「スープラトゥールバス」。目的地のメルズーガ村までの間いくつか他の村にも停車するため、地元のお客さんもちらほら。片道235DH(バスチケットは当日朝にバス停で購入できるし、事前に電車のマラケシュ駅でも購入可能)。朝8時半にマラケシュのバス停を出発した。
こちらは、バス停の待合室。あらゆる公共場所に男性の肖像写真が飾ってある。気になって調べたところ、彼は1999年に即位した現国王ムハンマド6世。モロッコの正式国名は「モロッコ王国」、その名の通り国王を元首とする立憲君主国家。人が集まるところには国王の写真を掲げることが法律で決められているそうです!
ただし、このような公式ポートレートでなくスナップ写真などでもOKらしい。現代の王室のあるべき姿を模索しているムハンマド6世は国民のあいだで人気が高いみたいで、何枚も写真を飾っている商店も多く、単なる義務感からそうしているわけではなさそう。
岩肌が茶色〜赤く露出した山道が延々と続き、その合間に出てくる小さな集落の村。人々の生活が町ごとにちょっとずつ違っていたり、物資を運ぶトラックがたくさん走っていたり。刻々と変わって行く景色と人々の様子、砂漠でぐんぐん育つ強い植物たちを眺めて、ああ、アフリカ大陸に来たんだなと実感。
少し眠っていたら日が落ちていて、雨が降った後の地面に美しい夕陽が反射していた。日中も夕方も、光の性質が日本と全く違うように感じた。
砂漠中で、ラグジュアリーキャンプを体験
バスに揺られ10時間。夜8時半頃にメルズーガ村に到着し「house13」のオーナーの友人であるベルベル人・アスーが出迎えてくれた。四駆のでっかいJeepに乗って、砂漠手前に建つノマド(砂漠の遊牧民)の家に一度立ち寄りトイレなどを済ませ、砂漠の中へ突入。光が何も無い真っ暗な空間のなかで、徐々に目が慣れて来たな〜と思うと、急に現れたのがテントの集落。豪華なテント、いわゆるラグジュアリーキャンプです。食堂的に建てられたテントにまずは案内されると、すでに中ではヨーロッパ圏の観光客が数組がディナーをしていました。
外にいるとスタッフがブランケットを持って来てくれて、それを敷いて寝っ転がりながらひたすら月と星を見ていた。なんとかwi-fiは微弱に飛んでいたんだけど、あえて繋がず、デジタルデトックスの真夜中。視覚だけでなく、一番驚いたのはその静けさ。あまりにも無音で、砂に囲まれているため自分たちの話し声ですら周りに吸音されているようで、怖さを感じるほどの静寂。これは実際に来ないと体験出来ないことだったし、去年行ったインドで、あまりにも騒がしいと感じた聴覚の驚きと真逆の体験だった。
テントにはシャワーは無いため、この日はそのままベッドで就寝。乾燥していて夜は結構気温も低いため、あまり汗もかいていなかったのでそこまで気にならず。目を閉じてもあまりの静寂にしばらく慣れなかったけれど、深い眠りにつくことができました。
ラクダ使いとキャメルライド
日の出を見るため5時半に起床。支度をしたら、ラクダ使い達が引き連れたラクダに乗って、1時間ほどのキャメルライド。砂漠の出口のほとりまで連れて行ってもらった。
マラケシュへの帰り道は、house13から手配してもらったドライバーの車に乗り、ノンストップの旅。
ドライブを終えて、夜は再びマラケシュの「house13」に帰って来た!昨夜はじっくり見れなかった、ロビーの可愛いインテリアをじっくり見ながら、お迎えのミントティーをいただいた。
マラケシュ、夜の顔
シャワーで砂を洗い流し、休憩したままダラダラしてしまいそうだったけれど、奮い立たせて夜の街に繰り出します。「house13」はかつての王都である旧市街(メディナ)エリアにあり、20kmの城壁に囲まれています。古い建物がたくさん保存されているジャマ・エル・フナ広場の市民たちの喧騒を通り過ぎ、メディナの外に出る門をくぐり抜け、その西に広がる新市街(ギリーズ)エリアへ。
こちらは近代的な建物やホテル、ショッピングモール、スーパーなどが立ち並ぶ。マラケシュ1日目に行ったレストラン「AL FASSIA GUELIZ」もこちらのエリア内でした。今夜は趣向を変えて、ベリーダンスのショーやライブなどが楽しめるバー「Comptoir Darna」へ。ドレスコードあり、セキュリティのドアマンあり、富裕層の観光客が沢山訪れお酒を飲んでいた。
浮かれた夢のような時間が過ぎ、結構お高いお会計を済ませて夜風に当たりながら帰り道へ。マラケシュの別の顔を見たなあ…と思いながら再びメディナの入り口にタクシーで戻り、広場から「house13」への帰り道のアーケードを歩く。0時前後だったけれど、身の危険は感じることは無かった。明日は昼のマラケシュを楽しみ、海の街・エッサウィラへ。旅行記の続きを乞うご期待!
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宮崎 希沙
カレー大好きグラフィックデザイナー。東京のカレー屋さんを食べ歩いたレビューをまとめ、2010年より毎年発行しているzine「curry note」がライフワーク。今年で10周年なので過去バックナンバーをまとめた合本「CURRY NOTE SPDX」を発行、自身が運営する自主出版レーベルMESSなどで販売。Instagram #currynoteで日々のカレー記録中。30代を機に内臓脂肪と戦っていますがカレーは食べます。
http://kisamiyazaki.com