スタイリッシュな服を生み出しているからには、きっとそのアトリエもすてきなはず。そんな期待を胸に秘め、東京を 拠点としているブランドの仕事場へ。そこには、各々の視点でこだわり抜いた空間が広がっていた。
2007年スタート。熊切秀典がデザインを手がけ、既成概念にとらわれず、「ずっと残るもの」を作ることを目指す。2018-19年秋冬はパリで初のショーを開催予定。
昨年ブランド設立10周年を迎え、パリでの発表をスタートさせた。それに向けて、「ブランドの第二創業期」(熊切さん)という気持ちでオフィス移転を決意。広いワンフロアの物件を探し、全社員が仕切りなくデスクを並べ、中央で新作のフィッティングができるようにした。
「以前は各部署が別々の部屋にあったので〝報連相〟がスムーズではなかった。今は皆の距離が近くなり、フィッティングの際にさまざまな部署の反応を一度に知ることもできるように」
インテリアデザイナーの山本大介さんがスタッフに徹底的にヒアリングし、必要なスペースや使い勝手を検討。ブランドイメージに沿い、相反する素材の組み合わせを駆使し、「生成り」をテーマカラーにした。 「長い時間を過ごすオフィスにこだわって本当に良かった。自分たちの城を構えた気分です」
入り口の待合。「生成り」を感じさせるフロストガラスの電球で「壁材ではないもので壁を作る」ことを試みた。
バーナー・パントンの本物とリプロダクト品の照明を並べている会議室。見比べて本物の素晴らしさを学ぶ。
オフィス部分。「影ができると仕事場ではなくなってしまう気がするので」、明かりがフラットになるライトを使用。
オフィス中央に輝く標語。本当は「品質第一」も作りたかったそう。ネオンサインは社内にいくつかある。
熊切さんの席の後ろの窓際にいつも鎮座している「先生」。財布として販売していた商品だが、そう呼ばれている。