今夏の話題の映画、『四畳半タイムマシンブルース』が10月28日(金)より続映&上映劇場13館追加が決定! 指揮を執った夏目真悟監督は、これまでにアニメファンを唸らせるほどの挑戦的な作品を多数制作し、評価が上がり続けている注目のクリエイターだ。長年『四畳半』シリーズに携わってきたからこそ語れる最新作の魅力や、クリエイティブにかける熱い想いについて迫った。
夏目真悟監督が語る『四畳半タイムマシンブルース』の見どころ

──TVシリーズ『四畳半神話大系』にも絵コンテや原画、演出で参加されていました。今回、監督として依頼を受けてどのように感じましたか?
「僕にとって『四畳半』シリーズは湯浅政明さんの作品だったので、監督として誘われて正直びっくりしました。でも、湯浅さんがいいと言ってくれているのならば、精いっぱいやってみようと」
──そもそもアニメーターを志したきっかけは何だったのでしょうか。
「僕が子どもの頃は、任天堂のスーパーファミコンが発売されたり、『ドラゴンボール』や『スラムダンク』など〝ジャンプ黄金期〟と言われる作品が連載していたりと、エンタメがかなり充実した時期だったんです。大好きな漫画やゲーム、映画に囲まれた生活をしているうちに、いつからか〝自分もこういうものを作りたい〟と考えるようになりましたね」
──中でも大きな影響を受けた作品は?
「もっとも衝撃的だったのは『新世紀エヴァンゲリオン』です。ほかのアニメーションとは一味も二味も違う、得体の知れない魅力を感じました。劇場版が『もののけ姫』と同じ時期に公開されたのですが、〝タイプは違うけど、ものすごい大作が2つも誕生した〟と驚いたのを覚えています。この仕事を始めてから、作品を観る力がついたことで、これまで以上にいろんな角度から映像を楽しめるようになった気がしていて。昔に鑑賞したものも、今あらためてじっくり観ると、かなりの発見があるんですよ」
──これまでに数多くの作品に参加されていますが、中でも印象に残っているものについて教えてください。
「もともと演出をしたくてこの業界を志したということもあり、12年前に初めてコンテ演出を担当した『四畳半神話大系』6話はとても思い出深いです。湯浅監督をはじめ豪華なスタッフが集まる中、いったい自分自身がどこまでできるのかとワクワクしながら作りました」
──アニメーターや声優、音楽家など常に多彩な方々と制作しています。何か刺激的な出会いはありましたか?
「前作『Sonny Boy』で銀杏BOYZの峯田和伸さんに主題歌をお願いできたのは、一世一代の大きな出来事でした。内容がある程度固まった段階でオファーしたのですが、〝好きです!曲を作ってください!〟って脚本を渡しただけなのに、1ミリの誤差もなく僕が思い描くとおりの音楽が完成して。自分が学生時代から峯田さんの影響をたくさん受けてきた分、きっと『Sonny Boy』も自然と彼っぽいものになっていたんですよね」
──アニメーションを作る上で大切にしていることは何でしょうか。
「自分の仕事を考える上で一番しっくりくるのは、ハーマン・メルヴィルの『白鯨』に書かれていた〝正気ある狂気〟という言葉です。監督って立場は、全体を上手くまとめつつ、少しぶっ飛んだ面白さを持ってなくてはいけないと思うんです。あと、何かを生み出す時には必ず芯となるテーマがあって、そこから枝分かれして物語やキャラクターができていくのですが、その芯がブレると散漫なものになってしまうと考えていて。だから、自分が最初に決めた主題をできる限り信じることを心がけています」
──なるほど。最後に『四畳半タイムマシンブルース』の見どころを教えてください。
「TVシリーズから12年が経ち、僕自身も変わった部分があるし、森見登美彦さんの書く小説にもきっと変化があったと思うんです。だから、『四畳半』らしいクールでかっこいい雰囲気を引き継いで、絵柄や音楽はなるべく同じスタッフにお願いしつつも、とにかく今を大切にして作り上げました。これまでの『四畳半』シリーズと同じ空気感を楽しみながら、〝今ならでは〟の変化を感じつつ、観てもらえたらいいなと願っています」
発売から約1カ月で10万部を超えるベストセラーとなった、森見登美彦による小説『四畳半タイムマシンブルース』をアニメ化。2010年にTVアニメが放送された『四畳半神話大系』と、実写映画も話題となった上田誠による戯曲『サマータイムマシン・ブルース』が融合した本作。夏目真悟監督をはじめ、キャラクター原案・中村佑介、脚本・上田誠、音楽・大島ミチル、主題歌・ASIAN KUNG-FU GENERATIONなど、シリーズではおなじみの顔ぶれが集結する。上映中54館で続映&上映劇場13館追加が決定し、10月28日(金)より全国公開されるほか、ディズニープラスでも独占配信中。詳しくは公式サイトの上映劇場一覧をチェック。
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夏目真悟
2014年に『スペース☆ダンディ』でTVシリーズ初監督を務め、以降『ワンパンマン』や『ACCA13区監察課』などの注目作を手がける。2021年には監督・脚本・原作・演出を自ら担当したオリジナル作品『Sonny Boy』を発表し、独自の世界観が話題を呼んだ。