食とアートで誰かを笑顔にできたら、最高ですよね
アートディレクターと料理人の2人からなるユニットholidayは、彼ら独自のユニークなアプローチでケータリングやイベントなど食にまつわる様々なシーンを彩ってきた。連載第5回目は、2人のクリエイターが仕掛ける、食とアートの美味しい関係。
「ユーモアが必要さ 僕らと僕らの間には……」。かつてそう歌ったのはかの忌野清史郎だが、クリエイティブユニットholidayの堀出隼さんと美沙さんの2人も「生活にはユーモアが必要」だと強く信じている(holidayの由来がその苗字にあることは言うまでもない)。
堀出隼(以下:隼):僕の父親はヒッピーみたいな人で、その昔ワーゲンバスで海外を放浪してたんです。旅の途中でパリの美しさに感動して、いつか子供ができたら住まわせようと考えたらしくて。高校卒業したらすぐパリのアートスクールに送り出されました(笑)。向こうで6年を過ごしたんですが、その時に学んだことが自分の仕事の基幹になっています。日本のグラフィックデザインっておしゃべりな感じはしないですよね。でも、例えば海外の広告はウィットに富んでいて、生活を楽しもうとする“ユーモア”がある。その影響を強く受けたから、2010年にholidayを立ち上げたとき『make everyday happy』をコンセプトに、みんなを笑顔にする仕事をしたいと考えたんです」
カフェやフレンチのレストランで料理の修行を積んだ美沙さんも、holiday設立当初、食との関わりに知らずと次なるステップを求めていたそうだ。
堀出美沙(以下:美沙):一枚のお皿の上に美しく料理を盛りつけて完成するレストランの仕事も、常連さんとの密なコミュニケーションが味わえたカフェでの時間も、それはそれでいい経験だったんです。でも、食を通してもっと違う形で人を喜ばせることができるんじゃないかなって漠然と感じていました。そんな時に「イベントの仕事があるからケータリングやってよ」と突然言われて。まだ子供が夜泣き真っ最中の産休中だったし、やったこともなかったので、初めは「無理」とか「大変!」って思ってました(笑)。でも、「自分にしかできない仕事をしたい」と言っていた彼が、グラフィックデザインの枠でそのアイデアを出し切れていない気がしていて……。何かしらのきっかけになればいいなとも考えて、手探りで始めたんです」
holidayのプロジェクトは、きっと誰もが密かにあたため続けているだろう子供心を刺激してくる。大人でも中で“具材ゴッコ”ができるほど巨大なサンドイッチ小屋『SANDWICH STAND』や、苺をかぶって全国を回る似顔絵イベント、一期一会ならぬ『苺一絵』。ケータリングのみならず、イベントの企画やアート&フードのディレクション、オリジナルグッズのプロデュースなど、“食”にまつわる様々をデザインしてきた。
隼:関わる仕事によって、料理が主導の場合もあるし、コンセプトや演出から組み立てることもあります。ケータリングは、お客さんの反応に直にふれることができるから、そのライブ感が面白い。全体のコンセプトから料理の味や見ため、それをどう演出するのか。食とアートが結びつき、新しい体験になって、「美味しい」「楽しい」という声と一緒に笑顔が生まれる。例えば本をデザインしたとしても、読者の声を聞くことってなかなかないですよね。アミューズメントパークで「わー!」と騒ぐ1日くらいでは人って変わらない。でも、僕たちのフード体験を通して、その人たちの日常にちょっとした変化を感じてもらえるなら……最高ですよね。
葉山にあるアトリエ兼自宅。隼さんのパソコン越しには、窓から山の緑をのぞむ美沙さんのキッチン。調理器具が使いやすく並べられたこの空間で、ときには1人で100人分の料理に奮闘することもある。
美沙:イメージを料理に落とし込むのは、難しいときもあります。実際の作り上げる段階でも、仕込みから1週間はかかるんです。まずは手書きでレシピとデザインを考えるところから始まって、ひとつのイベントに何枚も書き出して……。完成形をファイルに残してきたんですが、この7年で分厚い1冊になりました。
隼:プレゼンスケッチも手描きがholidayのスタイルです。コンセプトやディレクション、料理、空間演出を、スクリーン上で手描きの紙芝居仕立てにしてクライアントに説明しています。そうするとミーティングにもコミュニケーションが生まれて、新たな発想につながる。いい意味でも悪い意味でも「ギリギリですよね」ってよく言われます(笑)。
家族でここに暮らして6年。holidayは今新しいプロジェクトに向かっている。
美沙:雑誌でレシピを考えるときもそうなんですが、「あ、そうすれば良かったんだ」という発見がありつつ、誰でも簡単に真似できる身近な料理を提案したいと思っているんです。一番好きなのは日常のご飯。だから私がふだん作りたいと思う料理を出す、そんな食堂のようなお店を作ろうとしているんです。季節によって美味しい食材が違うように、店内も冬は冬らしく、夏なら夏を感じるように変化するお店。デザイン的にも、そういう余白のある空間にしたいと思っています。
隼:できるだけ料理にピントを合わせた環境作りをして、味や色、ひとつひとつをどう楽しんでもらって、美味しいと感じてもらえるか。一発勝負のイベントとは違うので、holidayとしてはまったく新しいチャレンジです。一色の住宅街の真ん中で、子供たちが学校帰りに立ち寄れるような場所。なかなか苦戦中ですが(笑)、自分たち自身がどれだけ楽しめるかが大切なのかなって思っています。
http://we-are-holiday.com/
Photo: Kaori Nishida Illustration: aina m snape Text: Aiko Ishii
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