ふとしたときに引っかかる小さな懸念から、長年抱え込んでいたお悩みまで。きれいにまつわるあなたの問いかけに、ビューティライターのAYANAがお返事します。
きれいのお悩み投函箱 vol.7
あなたとAYANAの一問一答 「年相応」とどう向き合う?
📩 お手紙 📩
年齢を重ねて、かつて自分が好きだったものがしっくりこなくなってしまいました。とはいえ、何を選んだらいいのかわからず……年相応に垢抜けるにはどうしたらいいでしょうか?
💌 お返事 💌
年齢とスタイルの相性ってありますよね。個人的には「○○歳になったらこれはやめるべき(たとえばミニスカートやバンドTシャツ、ピンクのリップグロスなど)」みたいな言説は無視して大丈夫だと思っていますが、世の中的にどう思われるかという話ではなく、自分自身がしっくりこない場合は、やはり刷新のタイミングなんじゃないかなと思います。
私なりに考えたひとつの解決策なのですが、今の自分をイメージできる香りを決めてみるのはいかがでしょうか。自分の好きな、これだ!と思うフレグランスをひとつ、妥協せずに探してみるんです。
香りは目に見えないので、視覚に惑わされることなく感性で選ぶことができるものだと思います。この香りは落ち着くとか、この香りはテンション上がるとか、自分らしくいられるものや、憧れの空気感を含むようなものをひとつ選んでみましょう。
そして、その香りのイメージに合うように、服やメイクなんかも考えてみます。すると、なんとなくそれが道しるべとなるだけでなく、選ぶものに統一感が生まれていくのでは?と思います。「自分らしい」の「自分」を香りに委ねてみると、「自分らしさ」の認識が少しクリアになり(曖昧ではなくなり)、似合うものも見つけやすくなるのではないかな、と思います。
選んだ香りと自分の雰囲気が全然違ったらどうするの?と思われるかもしれませんが、そこは心配しなくて大丈夫。そのかわり、心から「いい香りだな!」と思えていることが大事です。自身の本能が反応している、つまり、その香りの魅力が、あなた自身の内側にも眠っているから呼応しているんです。その香りが自分の一部であるという説明がつきます。
パンデミックを経て、日本でもフレグランスのシーンがぐっと盛り上がりを見せています。昔はひとつの香水が流行るとみんなこぞって真似していましたが、今は違います。誰も使っていない私だけの香りを探している人がとても多いそうです。
ウードやタバコ、スパイスなどを使ったミステリアスな香りや、バニラやチョコレートなどのグルマン系も、一筋縄ではいかない魅力的な香りがたくさんあります。かつては重すぎたり、子供っぽかったりした印象のノートも、驚くほど使いやすくなっている。軽やかで、複雑で、洗練されているんです。たとえば、トム フォード ビューティの「バニラ セックス」は、バニラとアンバー、ビターアーモンド、トンカ、サンダルウッドによる、普通じゃない官能の物語。まず自分自身を、そしてすれ違う人をも虜にしてしまう香りです。軽やかなのに忘れられない。ピュアなのにダーティという矛盾のなかに、抗えない魅力があります。

フレグランスはちょっとハードルが高い、という方には、香りを楽しめるボディケアアイテムをおすすめしたいです。ボディミルクやボディクリーム、シャワージェルなどは、フレグランスほど気負わずに香りを楽しめるアイテム。フレグランスブランドが展開しているものなら、気に入ったらフレグランスも揃えたり、異なる香りをレイヤードできる楽しみもあります。ジョー マローン ロンドンのヴェルベット ローズ & ウード ボディ クレームは、スモーキーなウードにラグジュアリーなダマスクローズと神秘的なクローブが合わさった洗練の香りです。リッチな保湿が叶うのもうれしいポイント。

ぜひ、あなたらしい香りを、自分のスタイルを作っていく冒険の羅針盤としてご活用ください。
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AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、インタビュー、ブランドカタログなど広く執筆。化粧品メーカー企画開発職の経験を活かし、ブランディングや商品開発にも関わる。2021年、エッセイ集『「美しい」のものさし』(双葉社)を上梓。文章講座EMOTIONAL WRITING METHOD(#エモ文)主宰、OSAJI メイクアップコレクションディレクターも務める。
Photo&Text: AYANA