『ミステリと言う勿れ』(フジテレビ 月9)は、田村由美の同名人気マンガのドラマ化。今夜も久能整(菅田将暉)のおしゃべりが止まらない。新たな謎の女性も登場した第5回を、ドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。第4回はこちら。
菅田将暉×小日向文世『ミステリと言う勿れ』5 話。ライカ(門脇麦)登場、風呂光(伊藤沙莉)との関係はどう描かれるのか
ベッドで二人がしゃべっているだけで30分
4話につづいて5話も、1対1の対話がメインに置かれた『ミステリと言う勿れ』。4話の菅田将暉VS柄本佑に続いて、5話は菅田将暉VS小日向文世。今回は整(菅田将暉)が4話ラストの転落事故によって検査入院したところからはじまる。隣のベッドにいた元刑事・牛田(小日向文世)が過去に起こった事件について整に語り、その真相を当てさせる、アームチェア・ディテクティブの要素が強い展開だった。黒塗りの犯人がやや気になる回想シーンを除いては、ほぼベッドで二人がしゃべっているだけ。それで30分あまりをもたせるという、なかなかチャレンジングな試みがこの回では行われていた。
4話も雨の降る河川敷での会話がほとんどというストイックなつくりだったけれど、合間に爆弾を探す警察の姿が挟まれ、爆発の時間までにその場所を聞き出さなければならないという緊張感があった。けれど今回語られるのはすべて、牛田が経験した過去の事件。夜の病室で、二人はただただ静かに話し合う。牛田は3つの事件について語り、整は与えられた情報から3つとも真相にたどり着く。とくに3つめの殺人事件は、牛田だけがその事実を掴んでいながら、長く胸に秘めているものだった。それはずっと一緒にやってきた相棒・霜鳥(相島一之)が真犯人という、悲しい事実。
幽霊、『自省録』……わからないことだらけ
翌朝、整は「昨日の朝」牛田が亡くなっていたことを知る。「幽霊ですか? 僕は見ないので」「僕は死んだら、何もなくなるんだと思います」「つらいのも苦しいのも、恨みもなくなる」と言っていた整が、その日の朝には亡くなっていたはずの牛田とたくさん話し、その手元には牛田から譲られたマルクス・アウレリウスの『自省録』まで残っている。
突然の幽霊の登場に面食らうし、その意味を考えてもしまうけれど、まだわからないことだらけだ。整がなぜ牛田と出会ったのかも、その『自省録』が次の出会いにつながる意味も。
原作よりも大きな風呂光の存在
今回も風呂光(伊藤沙莉)の存在感が大きかった。原作では整の病院にやってくるのは池本だし、我路(永山瑛太)から病室に贈られた花を観て恋人からだと邪推するのは看護師だ。けれどドラマではいずれも風呂光が担っている。さらには『自省録』を使った暗号を解くときも、その暗号に誘われて温室へと行くときも、整の隣には風呂光がいる。その後、夜中の温室でライカ(門脇麦)と整が出会うのをこっそり目撃してもいる。
ここまで風呂光の存在が重要な位置を占めてくると、この先風呂光と整の関係がどうなっていくのかが気になる。さらにライカはいったいどんな理由で整に接触したのか、これからどう整と関わっていくのかもまだわからない。そういえば、牛田の話の中に登場した羽喰玄斗を千原ジュニアが演じていたが、登場はこれだけなのだろうか、それともこの先再び出てくることもあるのだろうか。
脚本: 相沢友子
演出: 松山博昭、品田俊介、相沢秀幸
出演: 菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、白石麻衣、鈴木浩介、筒井道隆、門脇麦 他
原作:『ミステリと言う勿れ』田村由美/小学館(『月刊フラワーズ』連載中)
主題歌: King Gnu『カメレオン』
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Writer 釣木文恵
ライター。名古屋出身。演劇、お笑いなどを中心にインタビューやレビューを執筆。
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