2月のアカデミー賞で司会のジミー・キンメルが、『ラ・ラ・ランド』と本作について「黒人がNASAを救い、白人がジャズを救った」とうまいジョークを言っていたが、それほど60年代のNASAで黒人女性が活躍した事実は明るみになっていなかった。『ドリーム』は、60年代、白人男性社会のNASAで宇宙開発を支えた数学者とエンジニア、指導教官として活躍した3人のアフリカ系アメリカ人の女性の実話を基に描かれる。天才的な能力を持っていても、黒人女性は差別を受け、尿意をもよおせば別の棟の黒人専用トイレへとヒール姿で走らねばならなかった。それでもあきらめずに闘い続けた彼女らの知恵と努力が、21世紀に働く女性たちの礎となっている。
『ドリーム』(16)
原題“Hidden Figures”は隠された人物もしくは数字を意味する。NASAの3人の黒人女性スタッフをタラジ・P・ヘンソン、オクタヴィア・スペンサー、歌手のジャネール・モネイが好演。監督はセオドア・メルフィ。9/29より全国公開。
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