6月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。
🎨CULTURE
鮮烈な印象の12編。『五月 その他の短篇』 アリ・スミス
G’s BOOK REVIEW
『五月 その他の短篇』
アリ・スミス

「わたし」は近所の木に恋してしまったと恋人にうちあける。うちあけられた「私」は「わたし」の言動を戸惑いながら見つめる。美しい狂気を孕んだラストまで終始現在形の文章で綴られた表題作を含む12の短編を収録。浮気の告白から始まるのに爽やかな「信じてほしい」、別れを決めたカップルのせめぎ合いを、思い出の功罪を混ぜ込みながら描いた「始まりにもどる」など、不穏さの変奏が鮮烈な印象を残す。
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Recommender: 北村浩子
今月心に残った一文。《「名前を付けて保存」という言葉が心強く響く時と、怖く感じる時がある。》(月と散文』より)