4月のエンタメをレビュー!GINZA編集部がレコメンドする新刊をご紹介。
🎨CULTURE
善悪の境目に立っているかのよう。川上未映子『黄色い家』|G’s BOOK REVIEW
『黄色い家』
川上未映子
(中央公論新社/¥2,090)
40歳の伊藤花は、偶然見たネットの記事に黄美子さんの名前を見つける。孤独だった自分とかつて一緒に暮らし、ちいさな店を切り盛りしてくれた人。記事の中で彼女は傷害と脅迫、逮捕監禁の罪に問われていた。蘇る20年前の記憶。働いてお金を得、楽しく暮らしたかった、ただそれだけだったのに……600ページ以上を読み切っても、黄美子さんを形容する最適な言葉が見つからない。善悪の境目に立っているような一作。
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Recommender: 北村浩子
ライター、フリーアナウンサー。『黄色い家』に出てきた《自分で稼いだ金だけが自分の金で、自分を守ってくれるのは誰かの金ではない》という言葉が忘れられません。