ここ数年、室内装飾に“黒と白”の侵略がゆるやかに始まったのは、白地に黒い菱形などミニマルな幾何学柄が織り込まれたモロッコのウールラグ、ベニワレンからではないだろうか? 同時期に現代デザイナーものではマイケル・アナスタシアデスの、全部が黒、または白いガラス製のシェードにミニマルな黒い支柱を組み合わせた照明が大ヒット。一方ヴィンテージ界隈では、80年代に〈アリアス〉から発表されたマリオ・ボッタの黒一色の椅子や、本体が黒白ボーダーの〈アルテミデ〉の照明〈ショーグン〉のフロアタイプなどは人気も価格も上がり続けている。そう、気づけば「黒と白」はとっくにおしゃれ人の室内を占拠していたのだ。しかし今、黒白インテリアの気分は“ミニマルからエモ”へ。今回はパブリックアート感満載なぶっ飛び系に加え、デザインが生み出された背景や、込められた思想に敬意を評して選定し、独断で認めた名作家具9点を紹介しよう。
家具セレクト、文_川合将人(インテリアスタイリスト)