現代美術家・今村源の個展が「水戸芸術館」で開かれている。2024年1月28日(日)まで、キノコを題材にしたインスタレーションなど、哲学的でユニークな作品が並ぶ。
日常の裏にある世界を探るアート展
『今村源 遅れるものの行方』展が水戸にて開催

目の前の世界は、本当に見えているままのものなのだろうか。誰しも一度はこんな感覚を抱いたことがあるはず。今村源が制作を通して追究しているのも、まさにこのテーマだ。
日常と表裏一体にある世界の深層に目を向け、その「かたち」を捉える。今村にとって、そうした行為と表現こそが「彫刻」なのだろう。針金やボール紙、発泡スチロールなど軽量の素材を用いた、浮遊感のある作品が特徴。とくに、森の地下に菌糸を張り巡らせて時折り地上に姿を現すキノコという存在にはたびたび想を得てきた。
人間には見えない場所で、しかし確実に地上の生物と共生し、世界を支えるキノコたち。そこに今村は、私(個)を超えて連綿と命をつなげる営みを見た。
「水戸芸術館現代美術ギャラリー」で開催中の個展では、過去作から最新作まで60点近くが展示される。と同時に、参加型のさまざまな企画も開催。作家と一緒にキノコや発酵食品の専門家を訪ねる「見えない世界のフィールドワーク」や、身近な材料と針金でキノコを作るワークショップ「キノコを作ってみよう」などが予定されている。「鑑賞」だけでない、インタラクティブなかたちで芸術に触れられる。
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『今村源 遅れゆくものの行方』
会期_開催中〜2024年1月28日(日)
*1月8日以外の月曜日および2023年12月9日(土)、10日(日)、27日(水)〜2024年1月3日(水)、9日(火)は休館。
会場_水戸芸術現代美術ギャラリー、エントランスホール
*エントランスホールには大型彫刻作品「きせい・キノコ・2019」を展示。
住所_茨城県水戸市五軒町1-6-8
開場時間_10:00〜18:00(入場は17:30まで)
入場料_一般900円
*高校生以下・70歳以上は無料。
*毎月第一金曜日は学生と65〜69歳は100円。
Tel_029-227-8111
【関連企画】
「今村源とたずねる見えない世界のフィールドワーク」
*募集終了
開催日_2023年11月18日(土)〜19日(日)、12月16日(土)
開催場所_11月18日(土)は「茨城県きのこ博物館」、11月19日(日)は「水戸市植物公園」、12月16日(土)は「だるま納豆」「吉久保酒造」にて。
募集人数_各回15名 *要事前申し込み
参加費_各500円
「ワークショップ キノコを作ってみよう」
開催日_2023年12月17日(日)
時間_10:30〜12:30、14:00〜16:00の2回開催
開催場所_水戸芸術館現代美術ギャラリー
対象_小学生〜大人 *小学校低学年には要保護者付き添い
募集人数_各回15名 *要事前申し込み
参加費_各500円 *展覧会入場券が別途必要
「赤ちゃんと一緒に美術館散歩」
開催日_2023年11月12日(日)、15日(水)
時間_10:30〜12:30
開催場所_水戸芸術館現代美術ギャラリー
対象_未就学児とその保護者
参加費_保護者のみ1500円 *要事前申し込み
「視覚に障害のある人との鑑賞ツアー session !」
開催日_12月3日(日)
時間_10:30〜12:00、14:30〜16:30
開催場所_水戸芸術館現代美術ギャラリー
対象_未就学児とその保護者
参加費_保護者のみ1500円 *要事前申し込み、展覧会入場料込み
「ウィークエンド・ギャラリートーク」
開催日_11月18日(土)より毎週土曜日
時間_14:30から40分程度
開催場所_水戸芸術館現代美術ギャラリー
参加費_無料 *展覧会入場券が別途必要
Text_Motoko KUROKI