2023年11月23日(木)から2024年3月10日(日)まで、文字とデザインの関係を見つめる展覧会「もじ イメージ Graphic 展」が開かれる。グローバリゼーションの中で揺れる日本語のグラフィックデザインとは？国内外54組のクリエイターの実践を通してその歴史と可能性を探る。
🎨CULTURE
日本語のデザインの可能性を探る『もじ イメージ Graphic 展』
六本木の「21_21 DESIGN SIGHT」にて開催
同じ文字でも、フォントが違えば見え方は変わる。背負う意味すら変わる。文字をどうデザインするかということは、メディアというものが生まれたときから、不変の大きなテーマだろう。
日本におけるグラフィックデザインの一つの節目を挙げるならば90年代で、DTP(パソコン上で出版物や印刷物のデータ制作を行うこと)が主流となったタイミングだ。
「もじ イメージ Graphic 展」は、グラフィックデザインの歴史を紐解きながら、90年代以降の日本語の文字とデザインの関係を探る試みだ。
地球上の多くの人が同じアプリケーションやソフトウェアを使うようになった今日この頃。でも、グローバリゼーションはまた、西洋からの潮流に対する各文化の多様な応答(アレンジ）をももたらした。逆に、ローカルなものがグローバルとなることもある。日本で生まれた「Emoji」は今や世界共通ワードだ。
本展では、そんな世界の動きのなかで、日本語という言語を共有する文化がどのように文字とビジュアルコミュニケーションを進化させているのかが探られる。
菊池敦己 「第18回グラフィック『1_WALL』展」(2018)
「グラフィック」と「展」の文字が大胆に配置された展覧会ポスター。
みふねたかし「家族のイラスト」(2014)
無料イラストを提供するウェブサイト「いらすとや」を運営するみふねたかし。昨今の日本のあらゆるフェーズのメディアを支える存在。
大日本タイポ組合「トイポグラフィ」(2007)
そもそも漢字という文字がグラフィカルな存在、ということを思い出させてくれる。
水戸部功 書籍「テッド・チャン『息吹』」(2019)
二字熟語を中心に配しながら、英題もデザインに落とし込んでいる。
三重野龍 「京都 ddd ギャラリー第223回企画展 GRAPHIC WEST8: 三重野龍 大全 2011-2019『屁理屈』」
「京都dddギャラリー」で行われた個展のポスター。よく見ると展覧会名がひらがなで隠れている。
石塚俊 「MOT アニュアル 2019『Echo after Echo : 仮の声、新しい影 』」(2019)
「Echo」という単語を繰り返し、ビジュアルでも単語の持つ意味を表現した。
投票ポスタープロジェクト「投票ポスター」(2022・抜粋)
2022年の参議院議員選挙に際して製作された啓発ビジュアル。「投票する」という行為の意味が、さまざまなグラフィックで表されている。
本展のポスター。ひらがな、カタカナ、漢字、英字に加え、横組みと縦組みという要素も入り混じる。
展示には国内外の54組のデザイナーやアーティストのプロジェクトが並べられ、13のテーマを考察。デジタルか印刷物かといったメディアで区別するのでなく、時代的なテーマで分類し、海外の動向も交えて捉えていく。
有名デザイナーから気鋭アーティストまで、個性あふれる作品が一堂に会するのを見るだけでもウキウキする展覧会。日本のグラフィック文化のこれまでとこれからを存分に感じたい。
ℹ️
『もじ イメージ Graphic 展』
会期＿2023年11月23日(木)〜2024年3月10日(日)
会場＿21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1＆2
住所＿東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン
時間＿10:00〜19:00(最終入場は18:30まで)
入場料＿一般1,400円、大学生800円、高校生500円、中学生以下無料
Text_Motoko KUROKI
