2024年4月11日(木)より東京オペラシティにて、900点以上の作品が揃う最大規模の個展『宇野亞喜良 AQUIRAX UNO』が開催される。日本を代表するイラストレーター、グラフィックデザイナーである宇野の初期から最新作まで網羅され、ポスターや書籍の装幀のほか、細やかな指示が書き込まれた原画や、これまで展示される機会があまりなかった舞台美術の関連作品も観ることができる。
東京オペラシティに宇野亞喜良の過去&新作が勢ぞろい!
原画や舞台美術など計900点以上を集めた大規模な展覧会が開催
笑っていない。怒っているでもない。捉えどころのない表情を浮かべた少女のイラストを見たことがあるだろうか。
この印象的な人物を描いているのが、宇野亞喜良。1960年代の日本において「イラストレーション」、「イラストレーター」という言葉を広め、時代を牽引してきたレジェンドである。
「クライアントのある仕事とは異なり、個展はモチーフや表現スタイルに制約されることがなく、自分ですべて決められる自由さが醍醐味です」と話す宇野。展覧会では、イラストレーション、ポスター、絵本、書籍、アニメーション映画、舞台美術…と、多岐にわたる彼の全仕事から抜粋された作品、なんと900点超が出品される。過去に開催された個展の規模をはるかに凌駕する大型個展だ。
作品は「プロローグ:名古屋時代」や「グラフィックデザイナーとしてのスタート」から「多方面から支持を得る近作、そして新作」まで12のトピックに分けられ、ジャンルごとに紹介される。企業広告やポスターはもちろん、溢れる才能が大いに感じられる学生時代のスケッチやクロッキーに加え、和田誠とともに一等を獲得した蛙のイラストレーションなどの初期作なども。
注目は、これまで目にする機会があまりなかった舞台美術関連作と新作。宇野は舞台装置や衣装、メイク、演出や脚本に至るまで、演劇全体の総合的なプロデュースも行なってきた。その中で、Project Nyxの『星の王子さま』なども担当。この原画からは、作風の特徴である、ファンタジーとも言い切れない毒っぽさのようなムードが、原作の空気感とシンクロしていく様子が読み取れるはず。
また、松尾芭蕉や寺山修司らが詠んだ句をテーマにした新作は、90歳を迎えてなお現役を貫く宇野の頭の中がちらりと覗けるようで面白い。
宇野亞喜良のこれまでを振り返り、さらなる進化への期待が膨らむ展覧会となるはずだ。
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宇野亞喜良
うの あきら>>イラストレーター・グラフィックデザイナー。
1934年愛知県名古屋市生まれ。名古屋市立工芸高等学校図案科卒業。
1955年上京。カルピス食品工業、日本デザインセンター、スタジオ・イルフイル、スタジオRe を経てフリーランス。1950年代から企業広告や演劇ポスター、絵本手がけるようになり、鬼才のイラストレーターとして活動を開始。1960年代末には演劇実験室・天井棧敷などのアングラ演劇ポスターや舞台美術を担当するなど、一躍時代の寵児として脚光を浴び る。1990年代からは展覧会のキュレーションや舞台の美術監督を務め、近年は俳句とのコラボレーション作を発表するなど、現在も多彩な分野で活躍。
主な著作に、『宇野亞喜良マスカレード』(美術出版社、1982年)、『薔薇の記憶』(東京書籍、2000 年)、『奥の横道』 (幻戯書房、2009 年)、『宇野亞喜良クロニクル』(グラフィック社、2014年)。 絵本に『あのこ』(文・今江祥智、理論社、1966年)、『ぼくはへいたろう』(文・小沢正、福音館書店、1994年)、『マイマイとナイナイ』(文・皆川博子、岩崎書店、2011年)などがある。刈谷市美術館、Bunkamuraギャラリー、ギン ザ・グラフィック・ギャラリーほか、個展多数。
1956年日宣美展特選、1960年日宣美展会員賞、1982年講談社出版文化さしえ賞、1989年サンリオ美術賞、1992年赤い鳥さし絵賞、2008年日本絵本賞、2013年全広連日本宣伝賞山名賞、2015年読売演劇大賞選考委員特別賞等を受賞。
1999年紫綬褒章、2010年旭日小綬章受章。
photo: 大童鉄平
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宇野亞喜良展 AQUIRAX UNO
会期_2024年4月11日(木)〜6月16日(日)
会場_東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間_11:00〜19:00*入場は18:30まで
休館日_月曜*祝日の場合は翌火休
入場料_一般¥1,400
Tel_03-050-5541-8600(ハローダイヤル)
Text: Ayako Tada