俳優を輝かせ物語を彩る衣装は映画の見どころ。日頃からコーディネートを提案する16名が認めるコスチュームが魅力的な一本を教えてもらった。連載 #ファッションで選ぶマイベスト映画 より。
スタイリスト池田尚輝が選ぶ、衣装が魅力的な映画『バッファロー’66』
ファッションで選ぶマイベスト映画vol.13
『バッファロー’66』
(1998)
ビリーの人生を想起させる
服と靴のコントラスト
主演のヴィンセント・ギャロが初監督作にして、脚本と音楽も担当。愛を知らない男と彼に惹かれる女性とのやりとりを映し出している。
「公開当時は話題のおしゃれ映画ぶりに気後れして、見逃しましたが、2年ほど前にようやく鑑賞。出所してきたばかりのビリーは、故郷のバッファローに降り立ちます。冬空の下、荒涼とした街中をトイレを探して歩く彼の足もとは赤いブーツ。身につけているグレーのタイトなブルゾンとスラックスも相まって、妙に映えています。この先で彼が起こしていく波乱の予兆にも感じられて、頭から離れませんでした」
レイラ(クリスティーナ・リッチ)がまとうベアトップワンピースとタイツの、くすんだ街並みとのコントラストも効果的。
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池田尚輝
いけだ・なおき>> アート系映画の先達であるジョナス・メカス、アンディ・ウォーホルといったNYアンダーグランドシーンの作品もチェックする。
Text&Edit_Mako Matsuoka