俳優を輝かせ物語を彩る衣装は映画の見どころ。日頃からコーディネートを提案する16名が認めるコスチュームが魅力的な一本を教えてもらった。連載 #ファッションで選ぶマイベスト映画 より。
🎨CULTURE
スタイリスト飯田珠緒が選ぶ、衣装が魅力的な映画『キャロル』
ファッションで選ぶマイベスト映画vol.02
『キャロル』
(2015)
裕福な階級生まれの女性の
抜かりない身なり
映画化を担ったのはトッド・ヘインズ。1952年を生きるキャロル(ケイト・ブランシェット)の隙のないコーディネートに、魅せられた。
「きちんと身体に沿ったドレスやジャケット&スカートのスーツ、ゴージャスなコートなど。仕立てたのであろう服に、イヤリングやブローチといったジュエリーも忘れずつけて、帽子も被り、グローブをはめる。顔はしっかりとお化粧をし、髪もきれいに巻いています。贅沢に身だしなみを整える一方で、自由度は低かったかもしれません。ウエストをマークして女性らしさを出し、スカートは膝下丈が中心。窮屈なところがまだ解放されていない時代なのでしょうね。でも、その規制のあるなかで生まれた美しさ(スタイル)というものがあった気がしています」
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飯田珠緒
いいだ・たまお>> 興味のあるミュージシャンを描いたものや音楽にまつわる一本は必ず観る。俳優ではケイト・ブランシェットがもっとも好き。
Text&Edit_Mako Matsuoka