俳優を輝かせ物語を彩る衣装は映画の見どころ。日頃からコーディネートを提案する16名が認めるコスチュームが魅力的な一本を教えてもらった。連載 #ファッションで選ぶマイベスト映画 より。
🎨CULTURE
スタイリスト谷崎 彩が選ぶ、衣装が魅力的な映画『満月の夜』
ファッションで選ぶマイベスト映画vol.04
『満月の夜』
(1984)
細部にひねりをきかせた
フレンチ80sに夢中
出合いは約20年前。劇場で開催されたエリック・ロメール特集だった。
「Amazonプライム・ビデオで配信されるようになってからは、リピートしています。主役のルイーズの格好を眺めるのが楽しくて。80sらしいボリューミーなシルエットのコートの中は、上下スウェット。その袖は捲り上げて、重ね着したシャツを見せている。アクセサリーの使い方も秀逸で、そうやって隅々まで気を配るセンスに刺激を受けます」
今冬訪れたパリでも同作で沸いた。
「『パープル』誌の編集長だったエレン・フライスの家でもその話で盛り上がりました。今は80年代に一瞬流行ったデザイナーたちの服に興味があるそうで、ルイーズが羽織った〈ドロテビス〉のコートを探しているらしいんですよ」
![エリック・ロメール監督による「喜劇と格言劇」シリーズの第4作。パリ郊外で建築家のレミと同棲するルイーズは、生真面目な彼と真逆の自由奔放な性格であるため口喧嘩が絶えない。二人の仲を維持するために都心部に彼女だけの部屋を構えて、ナイトライフを満喫するようになる。ルイーズ役のパスカル・オジェがインテリアを担当した。 DVD*HDレストア版 ¥5,280 発売元_シネマクガフィン 販売元_紀伊國屋書店 ©1986 - LES FILMS DU LOSANGE - C.E.R. COM PAGNIE ERIC ROHMER](/_next/image?url=https%3A%2F%2Fapi.ginzamag.com%2Fwp-content%2Fuploads%2F2024%2F04%2Fstylistfilm-02-6-1416x1045.jpg&w=3840&q=75)
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谷崎 彩
たにざき・あや>> 紹介する一本と同様に繰り返し観るのは『セリーヌとジュリーは舟でゆく』。最近の作品では『枯れ葉』が心に残っている。
Text&Edit_Mako Matsuoka