「まだ見たことがないもの」を信条に、作家性を大切にしたフレッシュな作品は公開されるたびに大きな話題をよび、映画界での存在感をますます高めている。現地関係者への取材や新旧のタイトルを考察し、あらためて「A24」の魅力に迫ります。
会員制度からコスメラインまで。映画製作だけではない「A24」のエンターテイメント
音楽もリリース
音楽部門では、これまで『ムーンライト』の5周年記念サントラボックスセットや、『ミナリ』などの楽譜を発売してきた。驚いたのは、トーキング・ヘッズのライヴを収録した『ストップ・メイキング・センス 4Kレストア』のトリビュート版『Everyone’s Getting Involved: A Stop Making Sense Tribute Album』の制作までしたこと。パラモアなど、カバーアーティストのチョイスもセンスがよく、新世代が傑作をどう再解釈するか気になる。
TVドラマシリーズも画期的
ドラマでも新しい挑戦をしている。『ユーフォリア』では、Z世代を主人公に、セックス、ドラッグ、メンタルヘルス、ジェンダーなどをテーマに今の高校生の生きづらさを描いた。その描写が過剰にして過激で賛否両論だったが記録的なヒットになった。ゼンデイヤほか、ジェイコブ・エロルディなどのスターが輩出。新作では、日本で2月から配信されているエマ・ストーン主演のブラックコメディ『THE CURSE/ザ・カース』(23)は見逃せない。A24配給の映画『アンカット・ダイアモンド』(19)を監督したサフディ兄弟の弟ベニーが手がけた初のTVシリーズで、クリストファー・ノーラン監督も「こんなドラマ観たことない」と絶賛。住宅リノベーション番組でサステイナブルな家を提案する夫婦が、近所の子どもに“呪われ”、予想外の不気味な展開に。また、韓国系アメリカ人監督イ・サンジンによる、アジア系キャストで制作したNetflixシリーズ『BEEF ビーフ』(23)も大ヒット。
Text_Akemi Nakamura