Sara Anstis, Running, Red, 2024. Photo by Stephen James. Courtesy of the artist, Kasmin and Perrotin.
ロンドン拠点のアーティスト、サラ・アンスティスの個展が「ペロタンサロン東京」で開かれる。異世界のような情景には、美術史からのさまざまな引用が潜む。2025年3月5日(水)から4月5日(土)まで。
「ペロタンサロン東京」にて個展『Bath』が開催
Sara Anstis, Running, Red, 2024. Photo by Stephen James. Courtesy of the artist, Kasmin and Perrotin.
ロンドン拠点のアーティスト、サラ・アンスティスの個展が「ペロタンサロン東京」で開かれる。異世界のような情景には、美術史からのさまざまな引用が潜む。2025年3月5日(水)から4月5日(土)まで。
1991年生まれのアンスティスはスウェーデン出身。現在はロンドンをベースにし、油彩画やドローイングでの表現が注目を集めている。
裸で駆ける女性や、バスタブに入る女性二人と犬。その描き出す世界は、不思議な夢のようで、謎めいた寓話のようでもある。もちろん絵画を完全に「解釈」する必要はないかもしれないが、西洋美術史を紐解けば、作品の背景にある文脈が少し見えてくる。
一見して明らかな、シュルレアリスム運動の影響。それから、動物と戯れる女性などの具象表現は中世や初期ルネサンスを思わせる。『Running, Red』と題された一枚では、裸の女性が火の燃え盛る炎と、地獄のような光景のなかを駆け抜ける。ピーテル・ブリューゲル『悪女フリート』を想起させるが、鑑賞者を見つめる登場人物の視線には現代的な感覚が宿っている。展覧会タイトルにもなっている“Bath (浴室)”というモチーフも、ローマ時代からの絵画の系譜に連なるものだ。
日常と非日常をつなげ、神話的な物語の探究へと誘うアンスティス。これまで主に水彩紙の上にパステルで色を重ねてきた彼女だが、本展では初めて木製パネルに描いた作品も発表する。素材と絵具、両方の物質性の掛け合わせも、作品世界をより深く豊かにしていく。
会期_2025年3月5日(水)〜4月5日(土)
会場_ペロタンサロン東京
住所_東京都港区六本木6-6-9 ピラミデビル2F
時間_11:00〜19:00(日、月、祝日休館)
Tel_03-6721-0687
Text_Motoko KUROKI