オーストリア出身のエルヴィン・ヴルムが「十和田市現代美術館」で個展『人のかたち』を開催中だ。最新作の大型インスタレーションなどさまざまな形態の作品が展示される。2025年11月16日(日)まで。
🎨CULTURE
彫刻家が身体性とアイデンティティを問い直す
エルヴィン・ヴルムが「十和田市現代美術館」で個展開催

エルヴィン・ヴルムは彫刻家と紹介されることが多いが、彼の「彫刻」は幅広い。石膏や金属といった伝統的な素材だけでなく、写真や衣服、絵画など多様なかたちで彫刻的表現を探求している。たとえば、作品鑑賞者が指示に従って不思議なポーズをとって止まるシリーズは[1分間の彫刻]と名付けられていて、身体と空間との関係を問いかける。「十和田市現代美術館」は、ヴルムの作品を日本で唯一常設展示している場所。今回、満を持して日本の美術館では初となるヴルムの個展を企画した。
本展『人のかたち』には、2024年に公開された作品[学校]をアップデートしたインスタレーションが登場。また、写真や絵画を取り混ぜた多様な作品群も並ぶ。
ヴルムが探求するのは、身体、フォルム、空間の狭間で絶えず変容する境界。[学校]では例えば現実世界をデフォルメし、外部からの圧力によって身体やオブジェクトが変化するさまを表現。[平らな彫刻]と呼ばれる絵画のシリーズでは、従来の彫刻が持つ奥行きや量感という概念への問いが投げかけられている。身体はまぎれもなく具体的な「かたち」であり、それを通して人は存在する。本展を通して、自分の持つ「かたち」に意識を向け、世界と自らとの関わり方やアイデンティティについて考えを巡らせてみてほしい。
ℹ️
『エルヴィン・ヴルム 人のかたち』
会期_開催中〜2025年11月16日(日)
会場_十和田市現代美術館
住所_青森県十和田市西二番町10-9
時間_9:00〜17:00
料金_一般1,800円(常設展含む) *高校生以下無料
Tel_0170-20-1127
Text_Motoko KUROKI