独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア「Magazine isn’t dead. 」を主宰する高山かおりさん。世界中で見つけた雑誌やZINEから、毎月お気に入りの1冊を紹介します。前回紹介したZINEは「is in town #6」。
2つの土地をめぐる意外な共通点『北海道と京都と その界隈』── Magazine isn’t dead Vol.3
一見まったく関係がないように思える北海道と京都。そんな2つの土地をユーモラスに紹介するのが『北海道と京都と その界隈』だ。
創刊号に出合ったのは2016年。手に入れた創刊号をめくると、なんとマルセイバターサンドと阿闍梨餅が仲良く並んでいるではないか。そして見開きの文章にはこう書いてあった。「京都と北海道。手土産の王道と言えば、このふたつかな。阿闍梨餅は、加熱すると美味しい。マルセイバターサンドは、冷やすと美味しい。共にひとつから買える。100円強。なんだか似ているではないですか。」ここに共通点を見出すセンスに脱帽した。そして我が地元・十勝の宝である六花亭のお菓子をこのように紹介してくれたことにも。(その魅力を1時間は語れるほど六花亭が好きすぎる私、別の機会で書きたいことが山ほどあります笑)
いつも話が脱線してすみません。こうして王道から始まった本誌の内容は、至ってディープだ。観光地としての北海道と京都というA面ではなく、その地に根付く、でもささやかすぎて見過ごされているようなものに目を向けるB面に重きをおく、そんな感じだと思う。
最新号である第9号の表紙を見てほしい。クラーク博士像と平安神宮の鳥居をあえて斜め後ろや真横から撮影する、このひねくれ方(もちろんいい意味で!)で本誌のスタンスが伝わるのではないだろうか。
制作するのは、編集者の森末忍さんとグラフィックデザイナーの畠山尚さん。森末さんは20年以上前に東京から北海道へ移住し、畠山さんは59年間札幌から一歩も出たことがないという生粋の北海道人。そんな2人は仕事が縁で知り合い、京都が好きという共通項で意気投合したそうだ。ちなみに2人とも結婚式を京都で挙げたという共通点もある。
コンテンツは2人で雑談をしながら決めていくという。それはまるでジャムセッションをするように進行し、あらゆる方向へ向かう。ドライブイン、京都の仁丹看板、玉子サンド、シゲチャンランド、京友禅、トラクターなどといった具合に。
マニアックな連載も私は好きで、特に贔屓にしているのは、“モーリー・スペンサー”による「リトルプレス三昧」。洒落っ気たっぷりの著者名がたまらない。
表立ったところではなく、意外なところに面白さが潜んでいることを教えてくれる『北海道と京都と その界隈』。掘れば掘るほど魅力に気づくような、そんな夢中になれるものを見つける人生は楽しいのだと、森末さんと畠山さんから私はいつも学んでいる。
『北海道と京都と その界隈』はこちらで販売しています。
この連載では、ginzamag.com読者の手作りZINEを募集しています。決まりがなく、自分を自由に表現できるのがZINEの魅力。オンラインストア「Magazine isn’t dead. 」の高山かおりさんに、自分のZINEを見てほしい!という読者のみなさま。ぜひGINZA編集部まで送ってくださいね。
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高山かおり
独断と偏見で選ぶ国内外のマニアックな雑誌に特化したオンラインストア「Magazine isn’t dead. 」主宰。本業は、東京と甲府の2拠点で活動する編集アシスタント。北海道生まれ。セレクトショップ「aquagirl」で5年間販売員として勤務後、都内書店へ転職し6年間雑誌担当を務める。4歳からの雑誌好きで、国内外の雑誌やZINEなどのあらゆる紙ものをディグるのがライフワーク。旅好きでもあり、国内の地方都市には北から南まで攻めまくっている。京都で好きな喫茶店は「市川屋珈琲」。河井寛次郎記念館も近く、コーヒーだけでなくフルーツサンドも絶品。