59歳の吉野千明(小泉今日子)と63歳の長倉和平(中井貴一)、二人の恋の行方は……。先週6月23日に最終回を迎えた『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ毎週月曜よる9時〜)をドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。
レビュー前編はこちら。
結婚というお決まりのゴールには辿りつかない、名付けえぬ関係性を描く
59歳の吉野千明(小泉今日子)と63歳の長倉和平(中井貴一)、二人の恋の行方は……。先週6月23日に最終回を迎えた『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ毎週月曜よる9時〜)をドラマを愛するライター・釣木文恵が振り返ります。
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2012年にスタートしたドラマシリーズの第3弾『続・続・最後から二番目の恋』。思えば、このドラマはいつもどこか脇道に逸れるようなところがあった。そもそもの始まりからして、45歳と50歳の恋愛ドラマという時点で王道とは少し違う。そして、恋愛ドラマと言ってしまうのが憚られるほど、二人は結婚というお決まりのゴールには辿りつかない。
『続・続〜』最終回でもやはり、見事なほどにまっすぐな道は描かれなかった。鎌倉市役所で働く長倉和平(中井貴一)は市長(柴田理恵)から次期市長への立候補を打診され、迷い続けていた。和平は9話で「今生きている場所が自分の夢」であり、それを壊したくないと立候補を辞退。しかし別の市長推薦者の立候補が難しくなり、市長選に挑む決意を固める。その次のシーンでは「9カ月後」のテロップとともに、惜しくも選挙戦に敗退して副市長となったことがわかる。
テレビ局でドラマプロデューサーとして働く吉野千明(小泉今日子)の、社内募集されている「月9企画」に対する距離感を考えるシーンも全編通して度々挟み込まれた。そして9〜10話で万理子(内田有紀)と千明、部の全員で力を合わせて月9企画に応募する。が、最終回で月9企画は「採用なし」となり、そればかりか6月の時点で「夏の月9が飛んじゃった」穴埋めをさせられることに。彼女たちが作ってきた深夜ドラマ「サレ妻同盟」シリーズを、予算は大して増えないのにキャストを一新、豪華ゲストを呼ぶ形で派手にやれと命がくだる。しかし次にそのドラマについて触れられるのはドラマ本編放送後。千明の還暦パーティーでのモノローグだ。
市長選も、急遽降ってわいた月9も、それ一つでドラマの題材になりそうなほど大きな出来事だ。けれど、そこは一切描かれない。このドラマが描くのは、大きな道から逸れたところ。仕事帰りの駅で一緒になる二人であり、飲みながら交わす会話であり、名付けえぬ関係性の方だ。
Edit_Yukiko Arai