「僕らは目指す音楽や方向性があって結成したのではなく、高校卒業後にひょんなことから出会って『プライベートでノリの合う二人が偶然音楽も作れた』みたいな感じでぬるっと始まったから、03年を結成年にしているけど、それすらも定かではないんです。逆に、よく13年も続いたなと。仕事として割り切れるタイプじゃないし、ずっと同じ座組みで遊びすぎたのでいったんやめた、それだけなんです」(imai)
「何より自分たちが楽しむことが一番重要でしたから。group_inouは音楽ユニットというより、音楽友達が正しいかもしれません」(cp)
活動休止後、imaiはソロ活動を本格化させ、cpもソロおよび別名義で参加するバンドの音楽を作り続け、復活を願うファンたちが、SNSやYouTubeのコメント欄に思いの丈をフリック入力すること7年強。2024年の元日、何の前触れもなくEP『HAPPY』がサプライズリリースされた。が、意外にも再始動自体は予期していなかったと振り返る。
「23年にimai君が結成20周年だと気づいて、ファンのために1曲だけ出すつもりで制作を始めたんです」(cp)
「もともとは、他のアーティストに提供していた楽曲をcp君バージョンでリリースしたらファンの人も喜ぶと思って再開したんですけど、その途中にcp君が「できちゃった」って突然新曲を送ってきて(笑)。そんなラリーを続けるうちに2〜3週間で6曲も完成してしまったから、再開もライヴの予定も全然なかったけど、ただ面白いってだけの理由でどこにも誰にも言わずにEPを内緒で出したんです。そしたら、自分たちはまったく稼働していないのに想像を超えて盛り上がりが広がってくれて、せっかくだからとライヴの誘いが来たら受けることを繰り返し、今ここにいます」(imai)
思いもよらぬ形で再び歩み始めた中、ライヴ会場で新たな気づきがあった。
「大学生が全身にグッズを身につけていたり、高校生くらいの女の子が『小学生の時、父が運転中の車でよく流していて、その父と初めてライブに来ました!』って言ってくれたり、リアルタイムで追えていなかったはずの若くて熱狂的なお客さんが多かったんです。というのも、休止前は背景やルーツがわかる音楽が受け入れられやすい時代だったから、突然変異的に現れた僕らは認めてもらえないことも多くて。でも、活動していなかった8年間で世の中の価値観が変わったというか。今は技術の発達もあって他人の音楽をコピーしやすくなった分、『コピー不可能な音楽がいい』という考えの人が増えたんだと思います」(imai)
「サブスクでアクセスが簡単になったことで、たとえ裏側がわからなくても、カッコ良ければスルッと身体に入ってくる感覚なんでしょうね。リリースのタイミングもリアルタイムの必要性がなくなって、初めて聴いた時がその人にとってのリリースみたいな」(cp)