メンズカルチャーを起源とするアイテムの基礎知識を今日的な解釈も含めて解説。「Witty Vintage」オーナー、バイヤーの赤嶺優樹さんに“カレッジアイテム”についてお話を聞きました。#メンズアイテムの基本
「Witty Vintage」オーナー、バイヤー/赤嶺優樹が語る“カレッジアイテム”|押さえておきたい、メンズアイテムの基本 vol.4

カレッジアイテムって
どんなもの?
ファッションとして注目されるようになったのは1960〜70年代のアイビールックから。アイビーリーグはアメリカ北東部に18世紀ぐらいからある8つの名門私立大学の総称で、かつては男子のみ入学を許可されていたのでメンズのカルチャーなんです。
校名や校章、マスコットキャラクターなどをプリントしたアイテムが学校の購買部で売られていて、Tシャツやスウェットの他にノートなどの文房具やカレッジリングなどもあります。スタジャンやウインドブレーカー、ラガーシャツなどの学校のユニフォームも広義ではカレッジアイテムと言えます。
生徒は裕福な超お坊ちゃん。エリートで頭もいい。だからカレッジアイテムには自分の学校を誇るという意味合いもある。ロゴもかっこいいですしね。古着ではハーバード大のものが多い。一番自慢できる大学だからみんな着たかったのだと思うんです。女の子にもモテたでしょうね。
参考にしたい
アイビールック
Ivy League Style
1960〜70年代のアイビースタイル
1960〜70年代、アイビーリーグに通う学生たちの着こなしが人気を博し、スタイルとして定着したものです。ブレザー、BD(ボタンダウン)シャツやポロシャツ、チノパンが主要なアイテムで、〈ブルックス ブラザーズ〉〈Jプレス〉といったブランドが人気を後押し。
参考になるのは1965年に発行された写真集『TAKE IVY』で、2011年に日本の復刻版も出ています。BDシャツにスタジャンを羽織って、チノパンはいてローファー。パーカのフードを被って短パンにコンバース。ラガーシャツなどのユニフォームを授業でも着ていたり、スクールカラーやロゴ使いに遊びを感じる自由な着こなしです。
カレッジスウェットの特徴
Harvard Sweatshirt
ハーバード大学のスウェットシャツ
まずは学校名のレタードやエンブレムのプリント。ロゴは他にもサークルやクラブ、きっと“飲みサー”みたいなのもあったと思います。
次にスクールカラー。アイビーリーグで言うとハーバードはクリムゾンという赤、イエールはアジュールと呼ばれる青。古着では有名大学ほど高値がつきます。それほどアメリカでは価値があったのでしょう。また、古着は縮みでサイズが変わってしまっているので試着が必要。縮んだゆえに着丈が短く身幅は広いという今っぽいサイズ感になっているものもあるんですよ。
カレッジアイテムの
旬な着こなし
スラックスなどきれい目なボトムを合わせるのがおすすめです。スカートの場合は、ふわふわした素材より、タイトでしっかりした生地感のニットやレザーのものが気分です。
デニムやチノパンなどのカジュアルなパンツならば、華奢なシューズや大振りのピアスやネックレスなどと一緒に。暖かい日は、ユニークなプリントのスウェットを肩にかけても可愛い。オーバーサイズを着るときは、ボトムに前だけインしてバランス調整を。小さめのサイズはボリュームのあるパンツが好相性です。
ヴィンテージスウェットの
ディテール
原型ができたのは1920年代ぐらい。ヴィンテージに多く見られる丸胴とは、つり編み機で上からつって丸く緩いテンションで編まれたもの。時間がかかる非効率的な作り方ですが柔らかな風合いがあるとされていて、60年代頃まで見られます。
また、古いものほどリブが長いのも特徴。防縮の技術が無い時代、縦に縮む生地を横に使って脇にリブをつけたのが〈チャンピオン〉のリバースウィーブです。
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赤嶺優樹
「Witty Vintage」 オーナー、バイヤー
1988年沖縄県生まれ。アパレル業界を経て、2014年ヴィンテージバイヤーとして独立。17年にレディスのオンラインショップをスタートし、この1月に実店舗を東京・祐天寺にオープン。
wittyvtg.thebase.in
Illustration: Yoshifumi Takeda Edit: Naoko Sasaki