〈カナダグース〉が誇る機能性とミニマルデザイン、〈ロク〉が表現するエレガンスと独創性、そしてマット・マコーミックが描くどこかノスタルジックなアメリカの風景。一見、ベクトルが異なる印象の三者がタッグを組んだカプセルコレクションが発表された。ドーバーストリート マーケット ギンザでのローンチパーティに合わせて来日したロク本人に、今回の取り組みの背景を聞いた。
〈Rokh〉デザイナー、ロク・ファンが語るトリプルコラボレーションへの想い
ドーバーストリート マーケット ギンザでのローンチパーティで直撃!

──まず、テーマである「office essentials」に込めた想いについて教えてください。
〈カナダグース〉は、テクニカルに優れたアウトドア向けウェアというイメージがあります。でも大都市に行けば、例えばスーツなどのフォーマルに合わせたり、街中でも自然にファッションとして着こなす人々を多く目にする。そこから発想して、ふたつのシーンの架け橋になることができるようなものをつくりたいと思いました。
──このユニークなコラボレーションはどういう経緯で生まれたのでしょうか?
親友でもあるコレット(注:2017年に閉店したパリのサントノーレ通りにあった伝説的コンセプトショップ)のクリエイティブディレクター、サラとの本当に何気ない会話がきっかけでした。アイコニックなブランドやアイテムをベースにして自分のアレンジを加えたいと話していたところ、『カナダグースと一緒にやってみるのはどうか』という提案をもらいました。
──そこにマット・マコーミックが加わり、トリプルコラボレーションが実現したのですね。
彼が描くアメリカーナやワイルドウエストの世界観がすごく好きで、もともと僕自身がファンでした。〈カナダグース〉の根幹にある本格的なアドベンチャー精神、マコーミックが描く砂漠や荒野、そして〈ロク〉のアイコンカラーであるベージュ。それぞれ独自のアイデンティティを持ちつつも、通底する共通項があると感じていましたし、マコーミックが参加することでこの協業の深みが増すという確信がありました。
──〈カナダグース〉はすでに完成された機能美を持っていますが、それをアレンジすることの難しさは感じましたか?
今回のインスタレーションでも展示していますが、まずは〈ロク〉のシグネチャーでもあるトレンチコートを解体していくことから始めました。マテリアル、細かなディテール、裏地とのフィーリング。それら全てにおいて、〈カナダグース〉の機能面と〈ロク〉の世界観を融合させていく。確かにかなりのチャレンジでしたが、純粋にとても楽しめました。
──アウター以外のアイテムはどのように考えていったのでしょうか?
今回のコンセプトでは、太陽が重要なキーエレメントとなっています。サンブリーチを連想する色褪せたトーンと、モニュメント・バレーのサンセットのような美しくポップな色合い。コレクションの中で、日中と夕暮れを表現したいと思いました。また、“このアウターに合わせたいもの”ということを起点に、そのほかのアイテムを提案しています。
──このコレクションをどんなふうに楽しんでほしいと思いますか?
“アダプタブル&タイムレス”という〈ロク〉のコンセプト通り、男女や世代、そしてフォーマルやカジュアルなどという場面も問わず、幅広い層に楽しんでほしいです。ストラップのアジャスターやスナップボタンで着方をアレンジできることも大きな魅力だと思います。
──そういう意味でも、どんな人にも平等に存在する“太陽”は象徴的なのかもしれませんね。
そのように感じ取っていただけるならとても嬉しいです!
──〈カナダグース〉が掲げるテーマに「Live in The Open(=オープンに生きる)」というキーワードがありますが、ロクさんにとって自分らしく生きるとは?
フリーダムでいること、でしょうか。思考や在り方など、束縛されず制限されない状態でいるよう意識しています
──最後に、とても忙しい生活の中でのどのようにリフレッシュしていますか?
確かに普段は都会でルーティーン化されている生活を送っていますが、週末はなるべく自然があるところに出かけるようにしています。ドライブやキャンプ、ハイキングなどアウトドアでのアクティビティが大好きで、心身共にリフレッシュできる大切な時間です
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Photo_ Naohiro Hosoda Text&Interview_Kanako Uchida