メンズ特有の聞き慣れないファッション用語。すでに知っている人は復習を、初めての人は覚えておくときっと役立つキーワードをピックアップしました。
メンズスタイルの基本がここに。スーツ&ジャケットの基礎知識
メンズスタイルをつくる基本用語03
スーツ&ジャケット
男性服の基本がすべて詰まっているのがスーツ。襟、袖、切り込み。そのすべてに意味がある。
ブリティッシュスタイル
スーツの源流はイギリスの貴族文化。だから彼の地で生まれたブリティッシュスタイルこそが王道だ。パッドを入れて肩と胸を大きく見せる。そして高いウエストラインと長いジャケット丈が特徴。生地はといえば厚手でかっちりしたものが主流。これは雨が多く、冬は冷え込みが激しい気候に対応するため。ツイードやフラノなどは最たる例。そのため、全体的なシルエットは四角い。ディテールは脱個性的で、Vゾーンが狭く、ネクタイやシャツをあまり見せないフォーマルな印象となる。
クラシコイタリア
スーツスタイルで、英国式と比肩するのがクラシコイタリア。サヴィル・ロウの伝統的な仕立て技術をサルトリアの職人たちが独自に解釈。そして陽気な国民性もあいまって、肩パッドや芯地は可能な限り排除され、ラインやカットは曲線的に。結果としてボディラインが際立つシルエットとなった。光沢感のある、軽い生地が多く用いられるので、カジュアルにも着やすい。ファッションで主張することを好む背景から、首元でも個性を出しやすいようにVゾーンは広く、ゆったりとしている。
ノッチドラペル、ピークドラペル
スーツの印象を決定づける襟。なかでも下襟のことをラペルといい、大きく分けて2種類ある。まずは上襟との間がくの字を描く定番の襟型が、「切れ込み」を意味するノッチド。一方、下襟の先が上に向かって尖っているタイプがピークド。日本では剣襟とも呼ばれ、燕尾服やタキシードといったフォーマルな服装に用いられることも多い。それぞれをもとに、より柔らかい雰囲気になるセミノッチド、セミピークドという形もある。ラペルの幅の広さに流行があることもぜひ押さえておきたい。
ラペルのステッチ
形だけでなく、ラペルの縁に施されるステッチも佇まいに影響する。一般的な機械縫いなら大きく分けて2種類。手縫いの「なみ縫い」を再現したピックステッチと、目の細かいミシンステッチだ。仕立てれば、昔ながらの手縫いもオーダーできることもあり、玄人が見ればわかるこだわりとなる。シングルステッチが多いが、目立たせるとラグジュアリー感がアップするので、あえてダブルステッチにすることも。襟の端をばたつかせず、型崩れを防ぐ効果が期待できる。
Illustration_KAWADAHO Text_Ku Ishikawa Edit_Yu-ka Matsumoto