© Daici Ano
2025年4月、〈ディオール〉が京都の東寺にて2025年フォール ショーを開催。メゾンと日本文化の深い絆が表現された。
〈ディオール〉が京都で見せた夢
2025年フォール コレクションを東寺の庭園で披露

平安の昔に建立され、その後嵯峨天皇から空海に与えられた東寺(教王護国寺)。国宝の五重塔は、新幹線が京都駅に近づくとまず見えてくる、古都のシンボルのひとつだ。その足元にゆったりと広がる池泉回遊式庭園が、〈ディオール〉2025年フォール ショーのランウェイとなった。
ウィメンズ クリエイティブ ディレクターのマリア・グラツィア・キウリが見つめたのは、相互に影響を与え合う、身体と衣服の関係性だ。キウリは持ち前の建築的センスの中に日本の着物の構造を組み込み、現代的な身体を表現。そして、70年以上前のムッシュ ディオールと同じように、京都の職人技に恋をした。京友禅の五代田畑喜八とコラボレートし、独自の視点で桜をデザイン。龍村美術織物や福田工芸染繍研究所とも対話を重ね、東西のサヴォワフェールを融合した。
夜の闇のような力強い漆黒や、艶やかで繊細なフローラルプリントは、身体に満ちる感情の表出のよう。服を着ることの意味を改めて問い直したコレクションの発表には、才能溢れる俳優らセレブリティも立ち会った。
〈ディオール〉はまた、2025年5月11日(日)まで開催中の『第13回KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭』にて写真家グラシエラ・イトゥルビデの展示をサポートしている。京都での一夜は、あらゆる形式のアートに対するコミットメントを表明し、メゾンのヘリテージと未来の邂逅を祝うものとなった。
Text_Motoko KUROKI