バーの扉を叩くとき、このカクテルを頼めれば、どこにいっても大丈夫。淑女なら覚えておきたい定番があります。バー業界のランキング「The World’s Bestselling Classics 2020」から、GINZA世代が知っておきたいカクテルを紹介。教えてくれたのは、世界的なカクテルコンペで優勝し、上海と東京にバーを持つバーテンダー・後閑信吾氏。
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欧米のマティーニはもっと自由『エスプレッソマティーニ』淑女のためのカクテルレッスンvol.2

マティーニグラスに入っていれば、マティーニ!?
カクテルの帝王といわれる、マティーニ。どこでも通じるカクテルと思いきや、実際は日本とアメリカのマティーニの概念には大きな差があります。
日本では、ジンとヴェルモットが入って軽くかき混ぜるのが王道の形ですが、アメリカだとマティーニグラスに入っていて、バーテンダーが“マティーニ”といえば、それはマティーニ。大らかで自由な世界観です。
「エスプレッソマティーニがいい例です。カクテルランキングでも必ず上位に来ますし、アメリカでメニューのないお店なら、毎日トップ3くらいに頼まれる印象のカクテル。ですが、いわゆる日本の王道な材料はひとつも入っていないんです。」と後閑さん。
レシピとしては、エスプレッソにウォッカと甘みをいれて、シェイクで仕上げることが多いですが、バーテンダーによってアレンジも利かせています。後閑さんのお店では濃いめのコールドブリューコーヒーに、バニラウォッカ、黒糖を使ったやわらかい印象の一杯。
「クーペグラスで出したりもするので、もはやマティーニの要素もなかったりしますが、そのくらい自由で気楽に欧米ではカクテルが楽しまれているんですよ。」
カフェでもバーでも楽しめるドリンク
エスプレッソマティーニは食後のドリンクとして、コーヒーが飲みたくなるところをカクテルで飲む感覚で、よく飲まれます。欧米では長年人気のカクテルではありますが、以前よりコーヒーも豆や焙煎にこだわるようになってきたため、コーヒーブームとともにエスプレッソマティーニも格段に美味しくなりました。
「バリスタでもこのカクテルはよく作ります。イケてるバリスタはカクテルの作り方を知っていないと、ということもありますし、イケてるバーテンダーはコーヒーのことを知っていないと、という傾向が世界的にあります。バーテンダーとバリスタの距離は縮まってきているように感じますね。」
食後のエスプレッソに変えて、お酒で締めてみることで、大人度は確実にステップアップするかも?カフェやバーでぜひオーダーを。
エスプレッソマティーニ 材料
エスプレッソ 30ml
ウォッカ 30ml
砂糖 1tsp
【The SG Club】
住所: 東京都渋谷区神南1-7-8
電話番号: 03-6427-0204
営業時間: 17:00-25:00
定休日: 無休
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後閑 信吾/バーテンダー、SG Groupファウンダー
2012年、Bacardi Legacy Cocktail Competition世界大会で優勝。SG Groupファウンダーとして国内外にSpeak Low、Sober Company、The Odd Couple(各上海)、The SG Club(東京)、The Bellwood(東京)を構え、それぞれWorld’s 50 Best Bars、Asia’s 50 Best Bars等で上位に名を連ねている。 2020年、“バーインダストリーで最も影響力ある100人”を定めるBar World 100にて第8位に選出される。
Photo: Hirom Kurokawa Text: Mari Kojima Edit: Karin Ohira