“FOODIE”なあの人を誘って
#15
thalee ling
[代々木上原]
日本の海の幸を生かす
独自のタイ・キュイジーヌ
グルメ偏差値の高い代々木上原に、またひとつ新星が。シェフは25歳の渡部雄さん。姉妹店の「Fresh Seafood Bistro SARU」で学んだ魚介の知識をベースにタイ料理をモダンに表現し、新しいジャンルを生み出している。
ここでは新鮮なシーフードが主軸だ。北海道や愛媛などから、その日水揚げされたものが直送される。「下処理が優れている寿司の技術にヒントを得ながら、捌いたり熟成させています」と渡部シェフ。真鯖の前菜は、酢と日本酒でマリネしてから冷燻に。旨みを際立たせるため、香りの強いハーブは控えめにしているという。
シグネチャーは、有頭エビがダイナミックにのったレッドカリー。甲殻類の濃厚な出汁がきいたビスクをベースにするのが渡部流だ。クミンなど、ペーストに使うスパイスは少しだけ粒を残してあるから、爽やかな刺激が口いっぱいに広がる。
若きシェフは研究熱心だ。「ヴィジュアルも大切」と、手早くも繊細な盛りつけは、絵画鑑賞でふくらませたイメージだとか。メニュー名からは想像がつかない見た目に心をつかまれてしまう。店内は、現地の寺院を思わせるアーチも印象的。その奥にはシェフズテーブルがあり、キッチンを覗きながら料理を待つのも楽しそうだ。