秋も深まって、空が高くなってきました。
日本橋で天を仰ぐと、黄金に輝く神の存在に気づきます。三越本館の正面玄関の上にあるマーキュリー像です。マーキュリーはメルクリウス、ヘルメースとも呼ばれ、知恵の神、商人や旅人を守護します。
神話を紐解いていくと、大変な嘘つきです。面白半分にいたずらを仕掛けてあっさりバレ、しれっと言い逃れをします。「嘘のつき方をしらない」と言い放ちますから、たいした胆力です。
怒られているのに片手間に竪琴を作り、太陽神アポロンを魅了します。罪は許され、竪琴は神の伝令の証となる杖と取り替えられます。お互いに必要な物を交換して商売の神様となっていくのです。
完全主義で潔癖、何事もきちんとしたいおとめ座さんを守るのは、軽やかで臨機応変、頭の回転が速く要領がいい神様というところに、不思議な味わいがあります。
ちなみに竪琴はオルフェウスに下賜され、また別の物語につながっていきます。