いつも愛のかたちについて歌い、新たな挑戦を厭わない、唯一無二のミュージシャンで、等身大のかわいい人であり続けるCharaさん。デビュー30周年イヤーとなった2021年は、自身の軌跡を振り返る1年となった。
唯一無二のミュージシャン Chara。新たなシナプス、次なる冒険

「まわりがお祝いしてくれたのは、うれしかったですね。私はもっと楽しい、素敵な音楽を!と、先のことばかり見ちゃうタイプで、後ろは振り返らない方ですけど、“30周年さん”が、『ちょっと、お茶でも飲んでいかない?』と、ゆっくりできるいい時間をくれたなと思います」
2018年以降は、インディーズで活動をしていた彼女だが、2021年秋、日本コロムビアへ移籍。3月には、30年の集大成としてオーケストラ公演も行った。
「一人でやるのは気楽でもあったけど、わりと孤独感があったんですよね。久しぶりにチームを組んで、人生も折り返していることですし、最後の結婚みたいになればいいなという思いがあって(笑)。希望のような、ハッピーな気持ちがあります。あと、オーケストラ公演ね。クラシックは自分の音楽とはある種、真逆だから、不安もあったけれど、やってみたらすごく楽しくて。やっぱり、未経験のことをやってみると、人間、何かしらの筋肉がつくものだなって」
種を蒔くように
珍しい花を咲かせるように
曲を作り、歌い続ける
誰にも似てないオリジナルな歌声とルックスで私たちの心をギュッとつかむCharaが訪れたのは、不変の魅力を放つヴィンテージが並ぶショップ。 最新コレクションを身にまとい、過去から未来へと続く旅へ誘うように。 パテントレザーのディテール付きエコファーコート ¥1,595,000、レザーのスカート ¥495,000、シューズ ヒール6cm*参考商品(以上グッチ | グッチ ジャパン)/黒スカートの下に重ねた白コットンヴィンテージスカート ¥4,180(Ruby’s下北沢店)/ソックス*スタイリスト私物
移籍第1弾となるニューシングル、ALL OF YOUの頭文字を取った「A・O・U」は、アーティストmabanua氏がサウンドプロデュースを担当する、キュートでグルーヴィーなトラック。シベリアの永久凍土の中に埋まっていた、約3万2000年前の植物の種から花が咲いたという記事を見かけたことから、アイデアが膨らんで生まれた曲だそう。
「読んで、すごくロマンティック〜と思いながらも、なぜかわからないけど、涙が勝手に流れてきた日の気持ちとリンクしたんですよね。もしかしたら、自分の中で終わってたはずのものを、この種みたいに閉じ込めていたのかもしれないと気づいた。時間が経って、花が咲いて、浄化したのねと。人間ってこういうことあるな。不思議だなと思いましたね」
作詞も、種から花を咲かせるように作業するのだとCharaさんは語る。映画監督が台本を書くように、ストーリーを紡いでいくという。
「あんまり、日記みたいな歌詞は好きじゃないんです。一部をネタとして使うくらいならいいかもしれないけどね。これは何の種だろう?みたいに歌詞を育てるのが好きで。伝えたいことがあったり、誰かのためだったり、捧げるという思いが基本にあって、創作が好き!という気持ちも加わって、新しく品種改良された種が生まれてくるような。珍しいお花が咲くんですよ、歌詞って」
歳を重ねるごとに感じるようになったのは、言葉の広がりの面白さ。
「デビュー当時は、◯◯っぽいとか言われがちだし、新人でわからないから、インタビューだったりで発言を文字にする時も、“なんだかわからない私”みたいな言葉をわりと選んでいたんです。でも、やがて子どもが生まれて、少しずつ話すようになると、その辺に落ちている言葉が深いなとか素敵と思って。あ、こういう道もあるんだという発見が増えた。言葉からシナプスが広がるのが面白いんですよね。まだまだ勉強の途中ですけど」
「A・O・U」のカップリング曲、大橋トリオ氏をサウンドプロデューサーに迎えた「面影」は、Charaさんのライヴを支えきた歌手、竹本健一氏との共作。
「同じことを続けるミュージシャンもいるけれど、私は冒険したり、いろんな人とコラボしたいタイプなんです。だから、自分を深く理解してくれるメンバーであっても若手であっても、世代やジャンル関係なく、素晴らしいなと感じたら、まず、『曲作ってみる?』って言う。その人がいることで、私のアウトプットが変化すること自体、もう共作なんだよね。今回、『面影』のサビは、長きにわたって寄り添ってくれているケンボー (竹本氏)ならではのメロディで。私からは出てこないものだなぁって。“寄り添い”のプロって、遠慮し過ぎてもいけないし、共生しながら自分らしさを強調することができなくちゃいけない。それは、どんな仕事でも同じなんじゃないかと思うんです」
曲を作ることがいちばん好きな少女だったCharaさんは、歌い手がいなかったから、自分で歌うことを始めたという。
「たとえ声が出なくなっても、曲を作れればいいかなと。でも、私が好きなジャニス・イアンから、『あなたは裏方タイプじゃなく、一生、歌ったり、自分で活動するタイプね』と書かれた手紙をもらって。好きな歌の詞をジャニスが清書してくれる代わりに、貧しい学生へ寄付できるドネーション・プログラムがあって、それをネットでポチったときに、ちゃんと自己紹介したんですよ。そしたら、私が選んだ『JOY』の歌詞に、そんなメッセージが書き添えられていたんです。ジャニスがそう言うなら、歌い続けようと思った。ただ、嫌になってやめちゃうかもという気持ちと背中合わせではあるけれど。それが、制作の意欲にもつながっているのかもしれません。ハッピー過ぎると、鼻歌で終わっちゃうから」
ジャニス・イアンの直筆の「JOY」の歌詞。「普通の黄色いレポート用紙に書かれた清書が届いたんですけど(笑)、額に入れて飾ってます」
今のように全身のパフォーマンスができなくなっていっても、「シンプルなライヴができるおばあちゃんもカッコいいいよね」とCharaさんは笑う。
「パワーを使わなくてもいいし、話すように歌いたいという気持ちが最近すごく強くなってて。英語の曲を聴いて、歌詞の意味はわからなくても、フィーリングが伝わることってあるじゃん?そういう風に歌えたらいいなってすごく思う」
くちびるモチーフのベアトップドレス ¥3,125,100(ロエベ | ロエベ ジャパン クライアントサービス)/シューズ ヒール16cm ¥306,900(クリスチャン ルブタン | クリスチャン ルブタン ジャパン)/ヴィンテージネックレス ¥9,800、ヴィンテージリング ¥2,000(共にアヌーシュカ)/タンクトップ、ソックス*共にスタイリスト私物
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Chara
チャラ>> 日本コロムビア移籍第1弾シングル「A・O・U」が2022年11月1日リリース。初回限定盤は、デビュー30周年記念ライヴのステージを収録したブルーレイ付き。charaweb.net