2019年から数カ月に1回のペースで不定期にオンエアされたNHKラジオ番組『岡村靖幸のカモンエブリバディ』。その内容が書籍化されたと聞き、さっそく岡村靖幸さんにインタビュー。番組内で放たれた岡村さんの金言も挟みながらお届けしよう。
岡村ちゃんのラジオ番組が本になりましたよ!
新刊『岡村靖幸のカモンエブリバディ』について著者インタビュー。
まずこのラジオ番組について説明しておこう。NHKラジオとしては1990年に放送された『岡村靖幸ジョイフルポップ』以来、29年ぶりに岡村さんがパーソナリティを務める番組として2019年5月にスタート。放送日を主に祝日などに当てながら、2021年12月まで不定期に13回続けられた。最初に迎えたゲストはミュージシャンの大貫妙子さんで、対談形式で始まったが、徐々に岡村さんがゲストから何かを学ぶという内容に移行。ミュージシャンの斉藤和義さんと一緒に番組中に楽曲を制作したり、俳優の満島ひかりさんが岡村さんのピアノに合わせてポエトリー・リーディングや即興で一曲作るなど、放送時間拡大スペシャルも2回あった。どれも、かなり周到な準備を踏まえて収録され、充実した内容だった。
「ゲストが決まった段階で、まず僕のところにその方に関する大量の資料が届くので、それをじっくり読み込んで予習しておくんです。収録の際には、さすがNHKというか、きちんとした台本がありました。もちろん全てが台本通りではなく、途中で他の質問をしたり、関係ない話をしたりして。そこで生まれる相手の方との化学反応も楽しかったですけれどね。台本の途中に『この話題についてひとこと』と書いてあって、そこは自由に発言しますし、ゲストもご自分の考えたことを話しています」
岡村さん単独で放送された回では、リスナーからのお便りに答える時間が長く取られていた。一人一人の悩みや不安に対し、的確なアドバイスを淀みなく伝えていて、聴いていて感心させられた。
「そこに関しては台本はないです。収録でお便りを読みながらその場で考えて答えていました。実際には『うー』、とか『あー』とか言って考え込んだりしていたんですが、編集で上手にカットされたのでしょう」
“コロナ禍で状況は悪いんだけれども、「逆張り」だと。
負けねえという気持ちが大事です”
この番組は図らずもコロナ以前に始まり、感染拡大の真っ只中に続いた。
「誰も新型ウィルスの到来など予想もしなかった時期にこの番組はスタートし、第4回の斉藤和義さんとのスペシャル回(2020年1月1日放送)を終えた後、一気にコロナの世界になりました。最初の頃はとにかく得体の知れない感染症に対する不安が強くあって、お店が休業したり、世の中全体がかなりの厳戒態勢でしたよね。その後1年、2年と経つにつれて『これはいつまで続くんだ?』と訝しむ感じになって。収束のタイミングが見えないのが一番嫌でしたね。いつになったらエンタメを再開できるんだろうかと、僕自身もストレスを感じていました。リスナーの方も当然、日常に悩みや心配事を抱えていたでしょうから、それ絡みの質問が多かったと思います」
岡村さんは2020年4月1日にアルバム『操』を発表。4月7日に緊急事態宣言が発令され、予定されていたライブツアーは全て中止となった。
「ライブもままならぬ時期にラジオの仕事があったことは良かったとは思いますね。僕自身、発信することがなかなかできない状況下で、電波に乗せた声という形でリスナーの方と繋がれて、コロナ禍で起きる様々な不都合や心の動揺に皆さんがどう対処しているかを知ることができたし、考えさせられました」
Photo: Wataru Kitao Styling: Yoshiyuki Shimazu Hair&Make-up: Harumi Masuda(M-FLAGS) Edit & Text: Mari Matsubara