映画、お笑い、音楽などさまざまなシーンで活躍を広げる6組が今願うことは何だろう?それぞれの仕事に関する夢を聞きに行く。#いつか叶えたい私のウィッシュ
作家、演出家、俳優・山田由梨|自らの内面にあるテーマを共有したい
いつか叶えたい私のウィッシュ vol.6
作家、演出家、俳優・山田由梨

表現活動をマイペースに続け、
自らの内面にあるテーマを共有
2024年12月に、主宰する劇団「贅沢貧乏」にて『おわるのをまっている』を上演。5年ぶりの新作発表だ。
「コロナ禍もあり、ここ数年は映像の脚本執筆が増えていました。けれど、私にとって劇団は変わらないホーム。稽古に時間がかかる舞台は、コスパは良くありませんが、掘り下げたいテーマをその場に来た大勢と共有できる場。私にとってクリエイティブの“聖域”です。あるのとないのとでは他の仕事をする上でも全然違う。そういう場を長く保っていくことは、簡単そうで難しい。劇団員は各々別の活動もしているし、公演一本打つのには膨大なエネルギーがいる。だからこそ、実はとても大きな野望と言えるかなと」
新作公演ではメンタルヘルスを扱う。背景には、社会が求めるスピード感への疑問もあった。
「冬になると落ち込む年が続き、自分が季節性鬱だとわかったんです。夏は万能感にあふれて仕事も捗りますが、冬には絶望的な気持ちになる。以前は、『定期的に作品を発表しなければ』と焦ったりもした。でも、私たちはロボットではないし、通年一定のペースで働くほうが不自然なんじゃないか。そうやって不調を受け入れると、焦りが消えた。作劇も、ベストなものが出せるベストなときに発表していきたいと考えるようになりました」
世間の想定とは別の歩き方で、大切な劇団を守っていくのが目標。同時に、映像への意欲も抱く。
「以前ドラマの脚本や監督をしてとても楽しくて。舞台と異なり、俳優陣の最良の演技を編集でつなげて完成させるから、まるで宝石が連なるネックレスのようで。もっと挑戦してみたくなります」
Photo_Takao Iwasawa Styling_Miri Wada Hair&Make-up_Yoko Okuno Text_Motoko Kuroki