インスピレーションが生まれる、デザイナーが暮らすプライベート空間。それはこだわりのクリエイションに通づる、こだわりのインテリアが広がる。部屋の隅々から醸し出されるこだわりの“おしゃれ”を取材しました。
〈スウォッシュ ロンドン〉デザイナー サラ・スウォッシュさんと山中聡男さんが暮らす、コーンウォール州の海沿いの家

心地良く、クリエイティブに。海沿いでの新生活
イギリス・ロンドンから電車に揺られること、5〜6時間。コーンウォール州の海沿いの街、セント・アイヴスに、〈スウォッシュ〉のアトリエ兼住居がある。
庭からはヴァージニア・ウルフが毎夏過ごしていたという別荘が見える。彼女の代表作でもある『灯台へ』はここでの体験がベースとなっているそう。
「昨年春にロンドン市内から引っ越してきました。長男(6歳)、長女(4歳)にとっても素晴らしい環境。今はパソコンさえあれば、どこでも仕事できるしね」(山中)。セント・アイヴスから車で15分ほどの港町、ペンザンスで育ったというサラ。「ここはギャラリーが連なるアートの街。テート・ギャラリーやバーナード・リーチの博物館もあって、昔は芸術家のコロニーが数多く存在したの」(サラ)。アートに根ざした街に佇む家は、もともと小説家ヴァージニア・ウルフが所有していた土地に建てられたそう。「彼女もメンバーのひとりだった芸術家集団、ブルームズベリー・グループにこの土地がわたり、今の家が建てられたそう。石材の床、ラウンドした階段など、〝普通じゃない〟のが面白い!〝コージー〟さとデザイン性の両方が感じられるわ」(サラ)。〈スウォッシュ〉のオリジナルファブリックはすべて山中さんのハンドドローイング。白を基調とした贅沢な空間に、ドリーミーなテキスタイルが随所にちりばめられ、誰にも真似できないインテリアが出来上がる。絵柄にも度々登場する愛犬のキャンディは今12歳。「動物モチーフの雑貨類は、意識しなくても自然と集まってしまいます(笑)。特にキャンディと同じ犬種のものを見つけるとね(笑)」(山中)










2階には、長男、長女の子ども部屋が隣り合わせに。円形フォルムがユニークな木製のフックにはスカーフやアクセサリーをランダムに。
サンルームのように明るいキッチンスペース。グリーン類は窓際にずらっと。子どもたちが思いのままに絵を描くキャンバスが愛らしい彩りを添える。
長男の部屋には、スペーシーなモノクロプリントのランプシェードが中央に。周りを飾るのは、2010年リバティでのエキシビションで使われた気球のモニュメント。
リビングルームの主役はこのソファ。クッション類は柄違いのファブリックでコーディネート。右奥には山中さんのギターコレクションが。
コーンウォール州ペンザンスにあるオークションハウスで競り落としたというチェア。ヴィヴィッドな色使いのクッションによく似合う。
庭に面したダイニングルームは子どもたちの一番の遊び場。長男が夢中のレゴもいっぱい。2階を増築して、山中さんのアトリエにする計画もあるそう。
サラが「家の中で一番のお気に入り」と話す螺旋状の階段。石の素材感と黒い床のモダンなコンビネーションに木の温かみがアクセントを加えてくれる。
フランス製のアンティークベッドを購入して、側面とヘッドボードに〈スウォッシュ〉のテキスタイルを。ここで家族4人、愛犬キャンディと仲良く眠る。
バーナード・リーチが創設した博物館、リーチ・ポタリーで購入した陶器類や、少しずつ集めているアニマルモチーフの雑貨類が食器棚に並ぶ。
ヴィヴィアン・サッセンの写真作品とテリー・フロストのリトグラフが並ぶリビングの一角。〈バング&オルフセン〉のスピーカーにもスウォッシュ柄を。










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サラ・スウォッシュ、山中聡男
ロンドンのセントマーチンズで同級生だった2人が2004年にスタート。同年にイエール国際モードフェスティバルでグランプリを受賞。〈リバティ〉や〈ハビタット〉、〈レスポートサック〉など、コラボレーション商品も多数展開する。