オランダ発デニムブランド〈ジースター ロゥ〉が、アムステルダムのクリエイティブ・エージェンシーとともに「DENIM FOR EARTH(地球のためのデニム)」を発表。複数のアーティストがデニムクチュールを制作した。作品写真のオンラインエキシビジョンも開催中だ。
〈ジースター ロゥ〉が織る、地球のためのデニム。アーティストらによるクチュールが誕生

確かなクオリティと骨太なデザインでデニムファンを魅了する、〈ジースター ロゥ〉。世界初の立体裁断ジーンズなど、1989年の誕生以来ヨーロピアンデニム界を牽引中である。
そして本年2021年の4月22日・アースデーに発表されたのは、「DENIM FOR EARHT(地球のためのデニム)」。持続可能なファッションの未来に向けたプラットフォームだという。
〈ジースター ロゥ〉は、業界内でもいちはやく気候変動に真摯に向き合い、リサイクル素材使用などの取り組みをしてきた。(実際、現在使用している原料の93%が持続可能な資源由来 & コットンは99%有機綿を使用。ワオ!) 「DENIM FOR EARTH」は、アムステルダムの「ザ・ヴィジョナリー・ラボ」との共同プロジェクトだ。「ザ・ヴィジョナリー・ラボ」は、小規模ながらも欧州の数々のブランドキャンペーンや雑誌のディレクションなどを手がける、さすがアムス!なクリエイティブ・エージェンシー。二つが出合い、ファッションとアートとサステナビリティをつなぐ場が誕生したというわけだ。
このプロジェクトの根幹にあるのは、「ファッションは変革のアートである」という想い。GINZA読者のみなさんなら、ファッションが単なる消費ではないということは重々ご承知でしょう。〈ジースター ロゥ〉が目指したのも、日々の衣服以上の意味を持つデニムの姿だった。
「Where Eagles Dare(鷲の挑むところへ)」と題されたのは、オーガニックデニムのヘッドアクセサリー。帽子デザイナーYuki Isshikiの作品だ。題材は、「鳥は環境の指標である」という、バードウォッチャーの草分けロジャー・トリー・ピーターソンの言から。
「DENIM FOR EARTH」では、8名のアーティストがデニムでのクチュール制作に臨んだ。捨てられていた布を編み込んだり、日本の裂き織り手法でデニムをアップサイクリングしたり、廃棄食品の赤カブで染色してみたり…。また、〈ジースター ロゥ〉の持つ100%再利用可能なデニム生産背景や、一滴も水をこぼさずかつ有害化学物質を一切使わないウォッシング技術(再びワオ!)もふんだんに活用された。
Ferry Schiffelerによるデニムドレス「Western Sakiori」。リサイクルデニムを素材に、日本の伝統技法である、緯糸のかわりに裂いた布を使う「裂き織り」を取り入れた。
革新的なデニムの在り方に想を得ながら8名が表現した作品。それらは、ファッションでありアートでもある。よりよい未来のために何ができるのか?クチュールたちはそう問いかけてくる。
地球への愛が詰まったピースを撮影したのは、写真家のWendelien Daan。アムステルダム中心部レンブラント広場で写真展も開かれた(現在は終了)。また、同じくアムステルダムにある「MOCO美術館」の公式サイトのオンラインギャラリーにて、全作品を閲覧できる。
100年先も200年先も、大好きなデニムファッションを楽しめる世の中でありますように。そんな願いが自然と湧いてくるのだった。