ドラマも良いけど、Netflix映画が今アツい! 海外では『ROMA/ローマ』がアカデミー賞主要3部門を受賞したことも記憶に新しいが、その勢いはここ日本にも。11月5日から配信が開始した『ボクたちはみんな大人になれなかった』を筆頭に、日本発の注目作の配信を多数控えている。今回は、数あるNetflix映画の中から、GINZAが5作品をピックアップ!11月9日、10日に行われたNetflix Festival Japan 2021に登壇した監督や出演俳優のコメント付きでご紹介。
Netflixの長編映画が今アツい! 『ボクたちはみんな大人になれなかった』など今冬見たい作品5選

【1】普遍的なラブストーリー
『ボクたちはみんな大人になれなかった』
作家・燃え殻による同名恋愛小説を映画化。原作のヒットが証明しているように、“普通”でありふれた恋愛が描かれているからこそ、多くの共感を呼ぶのだろう。そんな普遍的な人間関係を、2020年から1995年まで、主人公の四半世紀にわたる人生を遡る形で描いた本作。劇中に散りばめられた、「WAVE」や「小沢健二」といった固有名詞、そして時代ごとに変化するファッションや街並みなど、カルチャー好きにはたまらないディテールにも注目だ。
【2】心揺さぶる結婚のはなし
『マリッジ・ストーリー』
アカデミー賞の複数部門でノミネートされ、助演女優賞を獲得した『マリッジ・ストーリー』は、Netflix映画が注目を集めるきっかけとなった作品の一つ。2019年12月からNetflixで独占配信しているので、すでに見た人も多いのでは?スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバー演じる夫婦が離婚に向かう過程を描く作品だが、2人はわかりやすく不仲なわけでもなく、むしろお互いを大切に思っている。「こんなに大切なのに、どこからズレていったんだろう?」と考えながら見ているうちに、自然と涙が。離婚の話だけど、愛を端々に感じる作品だ。心を揺さぶるシーンで溢れているが、中でも2人が激しく言い合う長回しのシーンは圧巻!まだの方は今夜ぜひ見て欲しい。すでに見た人はもう一度!
【3】規格外のスケールで描く
アクション超大作
『レッド・ノーティス』
「とにかくスケールの大きい、派手な映画が見たい!」という方には、世界を舞台に規格外のスケールで贈るアクション超大作『レッド・ノーティス』をおすすめしたい。まず主演がドウェイン・ジョンソン。それも、世界の重要指名手配犯を追いかけるFBIトップ捜査官という役どころなんて、面白くないわけがない!世界最高の詐欺師、そして美しき凄腕の大泥棒が絡み合い、前代未聞の“大強盗計画”へと発展していく。ホームパーティーなど、友人と集まって見るのも盛り上がりそう!
【4】誰もが知る“あの人”の知られざる話
『浅草キッド』
ビートたけしの知られざる“師匠” 深見千三郎。東八郎、萩本欽一、そしてビートたけしら人気芸人を何人も育てながら、自身はテレビに出演することがほぼ無かったことから“幻の浅草芸人”と呼ばれていた深見。そんな伝説の師匠との日々、そして芸人・ビートたけしが誕生するまでを描いた青春ドラマは、ビートたけしの自叙伝が原作。監督・脚本を務めた劇団ひとりは、実写化にあたりビートたけし本人にインタビューを行い製作を進めた。柳楽優弥とナイツ土屋がそれぞれビートたけしとビートきよしを演じる、ツービートの漫才シーンにも注目!
【5】ティモシーも出演!
超豪華キャストが贈るコメディ映画
『ドント・ルック・アップ』
彗星が衝突して地球が破滅!?『バイス』『マネー・ショート 華麗なる大逆転』のアダム・マッケイ監督による新作は、2人の三流天文学者の物語。巨大彗星が地球に衝突する恐れがあることを発見した2人が、迫り来る危険を世界に知らせるべく大手メディアを駆け回るコメディ作品だ。キャストには、豪華すぎるハリウッドスターが集結!主演のレオナルド・ディカプリオにはじまり、ジェニファー・ローレンス、ジョナ・ヒル、ティモシー・シャラメ、アリアナ・グランデ、ケイト・ブランシェット、メリル・ストリープら錚々たる面々が出演。
キーパーソンに直撃
2021年11月、映画ファンにとってビッグニュースが飛び込んできた。Netflixと是枝裕和監督が初めてタッグを組み、映画と連続ドラマを製作するというのだ。その勢いは増すばかりのNetflix作品だが、言語やカルチャーの垣根を越えて、世界中の人々を熱狂させる作品を生み出す秘訣とは? Netflixコンテンツ部門 バイス・プレジデント坂本 和隆さんに聞いてみた!
──韓国発のNetflixシリーズ「イカゲーム」が世界的にヒットしていますが、Netflix作品が言語やカルチャーの異なる人々を熱狂させる理由は何でしょう?
普遍的なテーマを持つストーリーは、国内外問わず人の心を動かすものだと考えています。素晴らしい作品はどんな国や地域でも生まれるものなので、Netflixではその国ならではの本場のストーリーを発掘することに注力しています。たとえば「全裸監督」など日本ならではのテーマを探し、人間の成長や夢を追いかけることで、“情熱”など世界中の人が共感できる普遍的なストーリーを語ることを追求しています。
──『ROMA/ローマ』や『マリッジ・ストーリー』など、海外ではNetflix映画が続々ヒットしている印象です。今後このような現象は日本にも?
アメリカではいち早く様々な作り手と映画製作を開始しており、直近ではスティーブン・スピルバーグ監督の制作会社とも提携するなど、世界の最高峰の作り手との企画が走り出しています。先日発表した通り、日本では是枝裕和監督と映画とドラマシリーズを手がけるほか、今後もあっと驚いていただけるような才能とタッグを組んで、メイドインジャパンの物語を作っていく予定です。もともと、国内メンバーの9割が過去1年間に日本映画(Netflix作品、ライセンス作品を含む)を視聴しており、映画は日本のメンバーに人気のカテゴリーなんですよ。
──タッグ発表にあたり、是枝監督は「これまでの作品とはスケールの違う、Netflixと組まないと実現しないような作品になる」とコメントされていました。改めてNetflix作品の強みは何だと考えますか?
Netflixは、クリエイターが“つくること”に集中できる環境を提供し、質の高い多様なジャンルの作品を取り揃えることを目指しています。作品に必要な表現であれば、クリエイターの意思を最大限尊重し、一緒に創り上げることを重要視しているんです。クリエイターをサポートする体制も強化していて、企画の開発から制作、編集、配信までのそれぞれの制作過程で、日本のノウハウをもった専門チームをつくり、作り手がクリエイティブに集中できるよう心がけています。
Netflix Festival Japan 2021でもご紹介した通り、日本国内の俳優陣やあらゆる世代、ジャンルのクリエイターがNetflixに集まってきています。Netflixは、クリエイターの皆さんから「一緒に仕事したい」「楽しい」と思ってもらえるスタジオを目指しているのですが、このような価値が徐々に理解され、業界にとっても新しいチャレンジの場として認知され始めていると感じています。
Netflix Festival Japan 2021には、今回紹介した『ボクたちはみんな大人になれなかった』『浅草キッド』のほか、日本発のNetflix作品に出演した豪華俳優陣が出席! このほか、『レッド・ノーティス』など海外作品のキャストによるスペシャルメッセージ映像も公開された。
──今後日本発のNetflix映画として、どのような作品が出てくることを期待できますか?
今年は『彼女』や『ボクたちはみんな大人になれなかった』のような、細やかに人間の心情を描く作品を配信してきました。『浅草キッド』を皮切りに、今後はさらに映像スケールの大きな長編映画を仕掛けるとともに、『雨を告げる漂流団地』をはじめとするファミリーでも楽しめるアニメーション映画も多数仕掛けていきます。実写とアニメーションの両輪で仕掛ける長編映画のラインナップにぜひご期待ください!
【坂本 和隆】2015年入社。Netflixの東京オフィスを拠点に、日本発の実写作品におけるクリエイティブを統括。入社後、Netflixシリーズ「火花」「深夜食堂」「全裸監督」「Followers」「今際の国のアリス」などの実写作品を担当した他、これまでにアニメシリーズ「Devilman Crybaby」「B:The Beginning」「リラックマとカオルさん」「アグレッシブ烈子」など幅広いコンテンツを仕掛ける。バラエティ豊かなNetflix作品の製作及び調達に貢献し、担当したNetflix作品は190以上の国と地域に配信中。現職に就く以前は、映画やドラマにおける国際共同製作の現場責任者を歴任。Netflix Festival Japan 2021