GINZA web 読者のみなさま はじめまして。ベルリン在住6年目のあっこです。
これからちょくちょくドイツはベルリンについていろんな角度からレポートしていくことになりました。ベルリン・オルタナ通信、宜しくお願いしまーす。
記念すべき第一回目はベルリンのパンについてお届けします。
ドイツパンというとずっしりと密度の高い茶色くてちょっと酸味のあるパン、というイメージ。そしてその重いパンを薄くスライスしてバターを塗ってチーズや野菜やハムと食べます。ライ麦パンなど、焼かずにそのむちっとした食感を楽しむものも多いようです。
ドイツに来てしばらくしてからドイツ人の食べ物に対する考え方の違いに驚きました。
もちろん全員ではないのですが、ドイツの人は「食事=エネルギー補給、健康、お腹を一杯にする」という意識が強く、それに対して日本人は「食事=旨味、エクスタシー、楽しみ」という意識が強いように感じます。
日本のパンはふわふわ、外はパリッ中はもちっ、とか食感にこだわりが強くて、すっごく繊細でおいしい!けれど旨味を作るために生地に砂糖が入っているものも多く、精製された小麦粉を使っていて栄養価は高いとは言えないものが多いです。とにかくおいしいということを追求している。
それに比べドイツのパンは精製していない穀物を使うことが多く、さらにかぼちゃの種やごまやフルーツなどを練り込んだりとパン一切れになるべくたくさん栄養素を入れようとしている印象。素朴で質実剛健。
私は最初の頃はライ麦などのサワー酵母を使ったパンがあまり得意じゃなくて、避けていたのですが、いろいろな種類のパンを見ていると見た目も可愛く気になるので、少しづつチャレンジするようになりました。そこで今回は日本人にも食べやすくて美味しい私のお気に入りのパン屋さんを紹介します。
いちばんのお気に入り♡
die Backstube
die Backstube 人通りの少ない隠れた場所にある小さなお店。
ベルリンのKreuzberg(クロイツベルグ)という地域にちいさなパン屋さんが。このあたりは昔からパンクスやアクティヴィストの多い地域で、このお店も81年にコレクティブ(働いている人に上下関係がない集団)というスタイルで発足し、そのスタイルを貫いてすでに36年目の老舗です。
オリジナルメンバーのPeterさん。いつもジミヘンのTシャツを着ている。
ポンコツなパンクスみたいなお店のキャラクター。
81年当時からオーガニック農家との直接取引にこだわり、全てお店の奥の小さなベーカリーで手作りで作られています。穀物の香りや旨味が飛ばないように、パンを焼く直前に特別な石臼で挽いているというこだわりの強さ。
わたしのおすすめはまず、1.1ユーロのクロワッサン!
ここのクロワッサンは私に、東京のヒルサイドパントリーの天然酵母クロワッサンを思い出させてくれます。作りたてが最高なのでなるべく午前中に買ってすぐに食べたいところ。それから全粒粉、けしの実や、かぼちゃの種の乗った小さな丸パンを使った1.2ユーロのサンドイッチ。安くて美味しい、ありがたい存在です。
そしてもちもちの100パーセントライ麦パンやディンケルパン。
ディンケルとは英語でいうとスペルト小麦という、品種改良のされていない昔ながらの小麦です。普通の小麦と比べると滋味深〜い自然な甘みとうまみのある美味しい小麦!栄養価も高く、不思議なことに小麦アレルギーの人でも食べられる人が多いという素晴らしい食べ物です!
こちらは26%ライ麦、74%スペルト小麦の丸いパン。しっとりというよりはむっちりとした食感。2.3ユーロ。初めの頃はステッカーが直にパンに貼ってあって全然うまく取れないところもカルチャーショックでした。
パン以外にもケーキもクッキーもどれも手作りのほっこりする美味しさ。はちみつとゴマのクッキーなんて60セント!本当に最高です。
そうです、バックステューベのさらにすごいところはこのフレンドリーな価格!こだわりをもって誠実に丁寧に作られたオーガニックのパンが、この値段で!という驚きの優しいお値段。大体のパンが一斤3ユーロ前後で買えます。素晴らしい!頭が下がります。ベルリンのネ申パン屋はここです!
Mehlwurm
小麦を食べる虫がキャラクターのオーガニックパン屋さん。
こちらも83年からなので34年もの歴史のある老舗ですが、ホームページで新作のパンや季節の商品が紹介されていたりと未だに新しい味を求めて試行錯誤しているのが垣間見れて、好感度の高いお店です。
ヨーグルトを練り込んだディンケルパン(左)半斤2.05ユーロ と新作のジャガイモの入ったパン、Kartoffelkrusteカルトフェルクルステ(右)半斤1.5ユーロ。どちらもモチモチの食感!ジャガイモのパンはマイルドだけどしっかり味がついていてくせになります。
メールウルムで私が本当にはまっているのがシュトーレン!シュトーレンとはドイツの家庭ではクリスマスを待つ1ヶ月くらい前から毎日一切れずつ食べるという、パンとお菓子の中間のような食べ物です。日にちが経てば経つほど中のドライフルーツや外側の砂糖がなじんでマイルドになりどんどん美味しくなる、熟成させるお菓子です。日本ではマジパンが苦手な人って多いと思うのですが、私はここのマジパンシュトーレンでマジパンが好きになりました。もちろんディンケルシュトーレンも最高。この4年ほどいつもこのシュトーレンをお歳暮やクリスマスプレゼントの代わりに日本に送っています。
今回マジパンは売り切れだったのでこちらのディンケルシュトーレンを。250グラム、5.3ユーロ。甘いのでうすーく切って食べます。クリスマス後に購入のためかなりマイルドになってて美味。ついもう一切れと、食べ過ぎてしまう危ないお菓子。
ZEIT FÜR BROT
最後に一軒、ニューウェーブをご紹介。こちらはなんとなくロンドンとかニューヨークを思わせるようなミニマルでおしゃれなお店。
店の奥はパンを作っている様子が見えるオープンキッチンになっています。
ツァイトフュアブロートはベルリンの他にもドイツ国内にハンブルグ、フランクフルト、ケルンにも店舗をもつチェーンです。ベルリンのお店は5年前にオープンし、ベルリナーに人気のブログでも高評価を得ていて、ヒップな存在と言えます。立地もMitte(ミッテ)という買い物エリアの真ん中でA.P.C.やBlessのショップからすぐ。店内はカフェになっているので、買い物した後にここでちょっとお茶なんてGinza読者にはぴったりかも。
一番人気はシナモンロール。他にもチョコレート、ナッツ、マジパンなどいろいろな味が選べるロールパン、ドイツ語ではシュネッケ。
こちらがシナモンシュネッケ 2.6ユーロ。フォークがぶっ刺さった状態でサーブされるのがベルリンの定番なのです。。。日本だと死んだ人のご飯だお。こんなところからもカルチャーの違いを体験する日々。。。
ですが、ですが、個人的にはくるみのパン、バゲッドなど食事用のパンをおすすめしたいです。これらのパンに無塩バターをたっぷりつけて食べる幸せ。。。
こちらがくるみパン 1.6ユーロ
他の2軒と比べるとやっぱりミッテ価格ですが、紙袋もおしゃれで誰かの家にディナーによばれた時など、ここのパンとおいしいチーズをもっていったら素敵!って喜んでもらえそうなファンシーなお店です。
以上、第一回目はベルリンのパンをご紹介しました。
引き続き次回はベルリンのアーティストのお家にお邪魔してパン作りを教わろうかなと思っています!彼のパンが本当に美味しくて、聞いたら10分で出来るとのことで、興味津々。。ついでにお部屋にある作品なんかも紹介できたらとー。お楽しみに〜💖
Danke schön !!