『コントが始まる』(日本テレビ 毎週土曜夜10時〜)8話。マネージャーの楠木(中村倫也)がメイクシラーズに持ってきた解散ライブのネタ順には、楠木の思いが詰まっていた。「誰かのがんばりは、誰かが見ている」が登場人物をつないだストーリーを、ゲーム作家でライターの米光一成が振り返る。
菅田将暉×神木隆之介×仲野太賀『コントが始まる』8話。楠木が見ていた「マクベス」、つむぎの見ていた里穂子「誰かのがんばりは、誰かが見ている」

楠木(中村倫也)が作ったネタ順は
「コントが始まる」8話、コント「ファミレス」の回。
「マクベス」のマネージャー楠木(中村倫也)が、解散ライブのネタ順を渡す。
1水のトラブル
2屋上
3奇跡の水
4捨て猫
5カラオケボックス
6金の斧 銀の斧
7無人島
8ファミレス
9結婚の挨拶
10新ネタ?
このネタ順は、ドラマ各話放送順と一致している!
第8話が「ファミレス」、そして次週の第9話が「結婚の挨拶」。ということは10話が最終回で新ネタ「引っ越し」となるのだろう。
楠木(中村倫也)が作ったネタ順を見て、「ちゃんと見ててくれたんだなぁ」と春斗(菅田将暉)は感慨深くつぶやく。
誰かのがんばりは、誰かが見ている。そして、そのがんばりは、誰かの何かのきっかけになるのだ。
「4人目の『マクベス』になったつもりで必死にやった」
楠木が、「マクベス」との5年間をふりかえる。
楠木は、懸命に3人の売り込みをしていた。関係者に単独ライブを見に来てくれるように頭を下げる。だが、いい結果に結びつかず。ネタ順の案を渡すと、春斗に「いっかい俺たちだけで考えていいですか」と拒絶されてしまう。じょじょに楠木と「マクベス」の距離が離れていく。
「『マクベス』を最初にあきらめてしまったのは俺なのかもしれない」
一度拒絶された楠木が、「マクベス」にひさしぶりにネタ順の案を渡したのは、つむぎのがんばりがきっかけだ。
つむぎ(古川琴音)は、マネージャーになるために面接を受けていた。面接しているのは楠木だ。そこで野球部のマネージャー時代の話になり、つむぎは力強く言う。
「わたしが絶対に甲子園に連れて行くんだって気持ちで、一緒に闘ってましたから」
「いいマネージャーだったんだな…」という楠木の少し寂しそうな表情。自分が最初にあきらめてしまったのかもしれないという思いが溢れ出てきたようだった。
だが、つむぎのがんばってる姿をきっかけにして、楠木は、ひさしぶりにネタ順の案を「マクベス」のメンバーに届けるのだ。
里穂子のがんばりを、つむぎは見ていた
そのつむぎが就職活動するきっかけをつくったのは、姉の里穂子(有村架純)だ。
「つむぎはシンプルにマネージャーの仕事を探せばいいんじゃないの」という姉のなにげない言葉を覚えていたのだ。
そして、つむぎは姉に置手紙をする。
「あれだけ辛い経験をしたのに再び就職に動き出したお姉ちゃんの背中にたくさんの勇気を貰いました」
里穂子のがんばりが、つむぎを動かした。里穂子のがんばりを、つむぎは見ていた。そのことが、また里穂子を強くする。
潤平(仲野太賀)のがんばりは、姉の弓子(木村文乃)が見ている。意固地になっている父、龍造(金田明夫)の言動に対して、潤平は口答えしない。頭を下げる。
車に乗っている姉と潤平が、そのことを話す。
弓子「頭下げてるの見た時、あぁ、マクベスやってきた甲斐があったんだなぁと思って」
潤平「おれ、別に親父に頭下げるためにマクベスやってきたわけじゃねぇから」
弓子「あれは弟ながら立派なもんだったわ」
楠木は面接のときにこう言っている。
「人から与えられたきっかけをいかに大切にするかで人生って劇的に変わるんだよな」
誰かのがんばりが、誰かを動かす。そういった人と人の結びつきをていねいに描いたドラマだ。
「人生ってそんなラフに決めていいもんなの」
って、春斗、そんなこと言ってる場合じゃないぞ。最終回まであと2回なのに道が決まってないのは、春斗だけになってしまった。がんばれ、春斗。
『コントが始まる』公式サイト(日本テレビ)
脚本: 金子茂樹
演出: 猪股隆一、金井紘
出演: 菅田将暉、神木隆之介、仲野太賀、有村架純、古川琴音、松田ゆう姫 他
主題歌: あいみょん「愛を知るまでは」
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Illustrator オカヤイヅミ
漫画家・イラストレーター。著書に『いいとしを』『白木蓮はきれいに散らない 』など。趣味は自炊。
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