タカ・イシイギャラリーといえば、東京の現代美術を扱うギャラリーとして私たちにはおなじみだ。自分がアートを好きになった学生時代からあるので、もうずっとあるように感じているが、なんと今年で25周年を迎えるという。その記念として都内のタカ・イシイギャラリー3つを会場に、ギャラリーアーティスト35名によるグループ展が開催される。
80年代にロサンゼルスでファインアートを学ぶ傍ら、プライベート・ディーラーとして活動していた石井孝之は、同時代の美術動向を紹介する場として、1994年に東京・大塚にタカ・イシイギャラリーを開廊した。第1回目の展覧会は、映画『KIDS』の監督でもあるラリー・クラーク。同展は、その後ギャラリーの代表的なアーティストのひとりとなる荒木経惟と出会うきっかけにもなった。荒木とは、1994 年の初個展「濹汁綺譚と陰毛礼讃」以来、今年までに27回もの個展を開催している。同じく日本を代表する写真家である森山大道もまた、このギャラリーのアーティストだ。写真家にとって、写真集は、実際のプリントと同様、大事な作品だ。1995年の森山大道初個展に合わせて刊行した写真集『Imitation』は、ギャラリーが出版事業を手掛ける契機となり、その刊行部数は50タイトルを超える。
タカ・イシイといえば、写真や映像にとくに強いイメージがあるが、それはこんなプロセスから広がっていったのかもしれない。
Sterling Ruby "WIDW. SLUSH.", 2019© Sterling Ruby/Courtesy of Taka Ishii Gallery
もうひとつの特徴は、活躍する海外アーティストたちをいち早く取り上げきたことだろう。90年代後半にはジャック・ピアソン、クリストファー・ウールらの個展を開催、2000年には当時まだ珍しかった映像作品を、ダグ・エイケンの個展で展示している。