気候変動、ジェンダー、BLM、コロナ禍とさまざまな問題に直面している今、ヒーローや人気者のあり方も変わってきているようだ。脳科学者・恩蔵絢子さんに、これからの時代に求められる人物像を分析してもらった。
脳科学者・恩蔵絢子さんが語る「相手に自身の宝物を発見させる人」|時代に愛されるこれからのヒーロー像とは? vol.5

相手に自身の宝物を発見させる人
私たちはどんな人をヒーローだと認識するのだろう?脳科学的な視点から恩蔵先生に“診断”してもらいました。
【カルテ1】
これからのヒーロー像とは?
昔は、リーダーはその人の性質によって決まるという考え方が支配的でした。でも今の脳科学では、誰がリーダーになるかは周りの人との関係性によって決まるとされています。周りの人の性質、環境、時代背景など複雑な要因が関与していると考えられています。輝いている人がいたら、その分周りの人が暗闇を引き受けてくれているとも言えます。また、自分の弱さを自認する人が何かを表現した時、賞賛されているようにも感じます。ヒーローとは自分の素晴らしさを誇示する人ではなく、相手にその人の中の宝物を発見させることができる人なのだと考えられます。
【カルテ2】
人はなぜ新しいヒーローを
求め続けるのか?
現実に絶望しないですむよう憧れをくれるヒーローが誰にでも必要と思います。ただそのヒーローが歴史的偉人から、等身大の人物に変わってきたことは面白いことです。
【カルテ3】
にせのヒーローに飛びついてしまう時が
あるのはなぜか?
本物とにせ物を区別することができないからでしょう。今までの人生経験から得た直感に従うしかないからです。ひとつの手段としては、教養を身につけることだと思います。
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恩蔵絢子
1979年神奈川県生まれ。自意識や感情を専門領域とする脳科学者。自身の体験から考察した著書『脳科学者の母が、認知症になる』で話題を集める。金城学院大学、早稲田大学、日本女子大学で非常勤講師を務める。