ふとしたときに引っかかる小さな懸念から、長年抱え込んでいたお悩みまで。あなたの問いかけに、ビューティライターのAYANAがお返事します。
きれいのお悩み投函箱 vol.11 さりげなく自信を宿せるコスメを味方に
あなたとAYANAの一問一答
📩 お手紙 📩
学生の頃は「大人っぽい」「隙がない」「心配ない」等、言われたことを言われた通りにやるだけで問題なしとされ、周りがそう評価するのならば私は間違いないんだと自信満々に過ごしていました。ところが、社会に出た途端「言われたことしかやってない」「つまらない」「自分が無い」等、評価があっという間に逆転してしまい、自信喪失し、自信を持つための指標を見失い、人生の進め方がわからなくなってしまいました。
昔は頼りない怠け者だと思っていた同級生が今では企業でばりばりと働き、子を儲け、家族を支えられる力を備えていくのを見ると、私立大学まで通わせてもらったのに働くこと自体がままならず非正規の低賃金で食い繋ぎ、恋人さえできない私の生き方そのものが間違っていたように感じます。
学生時代に頼りにしていた大人たちの言う通りにして成長の機会を失っていたと考えると、たとえ正しいものであっても、他人の意見にこれ以上影響を受けたくない!と過剰に怖がってしまい、強い抑鬱状態を経験したことから知能や感情が疎くなってしまったように感じています。一方で、不思議なことに、この状態でも私自身は未だ美しい人間であるという意識が無くなっていません。このような状況から人生を立て直すにはどのようにすればよいでしょうか。(つくしんぼさん/20代・会社員)
💌 お返事 💌
凛とした美しいお手紙をありがとうございました。人は社会性のある生き物なので、他者と比べたり、他者の評価を気にしたりしながら生きるのは、とても自然なことだと私は思います。しかし置かれている環境や時代によって、他者の色合いというのは変化してしまうのですよね。ここが難しいところで、これまでAが正解だよねという世界に生きていた人が、Bが正解ですよという環境に移ったら、戸惑ってしまうのは当然のことといえます。つくしんぼさんは、つくしんぼさんという存在のままなのに不思議ですよね。
つくしんぼさんには「相手に求められる自分でいれば間違いない」と思ってしまいやすい素地があり、そこには当然学生時代の成功体験が関係しています。しかし、当時は周囲から求められていることが、つくしんぼさんの素質とフィットしていた(そんなに難しくなかった/好みに合っていた)という側面もあったのではないでしょうか。言われたことをその通りにやるだけで「大人っぽい」「心配ない」と評価されるとも限らないと思うのです。それ以上の素敵なものがつくしんぼさんにあったから、「間違いない」つくしんぼさんでいられたのではないでしょうか。まず、言われたことをやっていただけで評価が高かったという前提条件を疑ってみてもいいかもしれません。
学生時代にできていたことのなかに、つくしんぼさんの得意技があるはずです。たとえば、相手のリクエストを素直に聞く力。実行力。計画性。危険なことはしないという安定感。これらは社会人になってもじゅうぶんな武器──というと物騒ですが、強みになり得ます。そういった自分らしさをどう使っていくのか?「自分はどうなりたいか、どうありたいか」が大事なのではないでしょうか。
何よりも大切なのは心身の健康です。まずはよく寝る、しっかり食べる、体を動かす、きれいなものを見ることを疎かにせず、自分に手をかけてあげましょう。
また、「言われたことしかやってない」「つまらない」「自分が無い」という言葉を、酷評と受け止めずにひとつひとつ点検してみてもいいでしょう。「言われたことしかやってない」というのは、ものごとを忠実に受け止められるということですし、「つまらない」は普遍的、「自分が無い」は周囲になじめるということになるかもしれません。
なんでも長所になり得ます。批判ではなく、自分とはどんな特性を持つ人かを考えるヒントをもらっている、くらいに考えてみてもいいのではないでしょうか。そのうえで「次回は言われたことにプラスオンしてみよう」と行動を広げるもよし「忠実性が求められる場所に転職しよう」と動くもよし。それはつくしんぼさんの自由です。もしかしたら同級生の方も、頼りないままではダメだと壁にぶつかって、どこかで自分なりに価値観を刷新したのかもしれません。
人生における運転手の座を、誰かに譲ってはいけません。他者の評価や価値観は簡単に変わってしまいます。それに翻弄される必要はありません。
つくしんぼさんがご自身のことを美しい人間だと感じられていることに、まぶしい希望を感じます。そのままの自分に胸を張っていくことへのエールとして、さりげないのに圧倒的な美しさをくれるマスカラを3種ご紹介させてください。


リーカのマスカラは、決してまつ毛が表に出過ぎないのに、垢抜けて凛とした印象に仕上がります。エルメスのトレ ドゥ エルメス マスカラ ボリュームは、まつ毛に存在感が欲しいけれどシックに仕上げたい方向け。静かなインパクトが生まれます。そしてRMKのフェザー ウィスプ マスカラは、まつ毛が軽い羽根のようなふわっとしたボリュームに。陽炎のような詩的ムードが漂います。
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AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、インタビュー、ブランドカタログなど広く執筆。化粧品メーカー企画開発職の経験を活かし、ブランディングや商品開発にも関わる。著書にエッセイ集『仕事美辞』『「美しい」のものさし』(双葉社)がある。文章講座EMOTIONAL WRITING METHOD(エモ文)主宰、OSAJI メイクアップコレクションディレクターも務める。
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