しばらく袖を通していなくても、使い込んでボロボロになっても 時が経っても手放せずにいる、思い出が詰まった大切なもの。 今につながるストーリーとともに紹介する。
🤓COLUMN
女優・蒔田彩珠の「捨てられない宝物」
初の連ドラ記念にもらったごほうびのポシェット
初の連ドラ記念にもらったごほうびのポシェット
7歳から子役としてキャリアをスタートさせた、蒔田彩珠さん。是枝裕和が脚本・監督を手がけたテレビドラマ『ゴーイング マイ ホーム』に10歳で出演した時のこと。
「私にとって初めての連続もので、撮影は半年かかりました。長い時間をかけて役者もスタッフも全員が同じ目標に向かって全力を尽くす現場に魅了され、はっきりと女優になりたいと思えた、ターニングポイントになった作品です。その撮影終了後にヘアメイクさんとスタイリストさんからごほうびにいただいたのが、小さな革のバッグでした」
それは美容師がハサミや櫛を入れて使うためのポシェットだった。
「当時は小学生だったので、レザーだとちょっと大人っぽすぎて。大事にクローゼットにしまっておいたのを高校生になってから引っぱり出しました。3年前に是枝組の関係者が集まって花見の会をした時に持って行ったら、プレゼントしてくださった方が〝これが似合う年齢になったんだね〟ってすごく喜んでくれて。これからも使い続けて、ますます味が出るといいな。女優としての出発点を思い出させてくれる、絶対に捨てられない特別なものです」
🗣️
蒔田彩珠
まきた・あじゅ
2002年神奈川県生まれ。『三度目の殺人』『万引き家族』など是枝監督作品に多く出演。24年Netflixシリーズ『忍びの家 House of Ninjas』など公開予定。
Photo:Kiyotaka Hamamura Text:Mari Matsubara