しばらく袖を通していなくても、使い込んでボロボロになっても 時が経っても手放せずにいる、思い出が詰まった大切なもの。 今につながるストーリーとともに紹介する。
🤓COLUMN
女優・夏帆の「捨てられない宝物」
自分らしい色に気づかせてくれたコート

自分らしい色に気づかせてくれたコート
「たくさんの洋服でぎゅうぎゅうになっているクローゼットが嫌で、着なくなったらすぐ人にあげて断捨離するタイプの私にしては珍しく、ずっと手放せないのがこのコートです」
そう語って夏帆さんが見せてくれたのは、冴え冴えとしたロイヤルブルーが印象的なウールのロングコートだ。
「20歳ぐらいの時に都内の古着屋さんで買いました。当時は黒っぽい服ばかり着ていたのに、たまたまこのコートに出合って、自分に案外しっくり合う色だなと感じました。それ以来、なぜか広告やドラマの衣装も私服でもブルー系を着ることが俄然多くなって。映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』はタイトルからまさにそうですが、思い入れのある仕事にはこの色が関係することが多かったり。青は自分のベースカラーなのだと気づかせてくれました」
ピンクの大きめのボタンや、後ろのウエストタブなどにレディな印象がありながら、スリットの入った長めの着丈や、ラグラン袖でゆったりとした作りが気に入っているという。
「デニムの上にガバッと羽織ったり、ロングスカートに合わせてズルズルっとした感じで着たり。時代を経ても今の気分に合う服ってうれしいですよね」
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夏帆
かほ
1991年東京都生まれ。2020年、映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』で第34回高崎映画祭最優秀主演女優賞受賞。舞台『いつぞやは』(2023年8月末〜)に出演予定。
Photo:Kiyotaka Hamamura Text:Mari Matsubara