最新号から、編集Sのこぼれ話をお届けします。
GINZA 7月号「東京ガールの古着案内」のこぼれ話
古着にルールなし、自由に楽しく着たもん勝ち!

特集の巻頭ストーリー「BabymixのTOKYO古着ミックス!」を担当しました。
古着にブランドの新作を合わせたスタイリングページです。
大人たちが何度も何度も、何時間にもわたって熱く議論を重ねた結果、みんなの頭にあったのは、90年代の東京でした。古き良き時代を懐かしむのではなく、2025年を生きる人たちに、あの頃のように力強くて夢のある、ファッションを楽しむムードを届けたい!その思いで、スタイリストのBabymixさんを筆頭に、チームが一丸となって丸2日間、都内を駆け巡りました。
90年代の東京は、ファッションがとても元気でした。
週末の明治通りはオシャレをした若者でごった返し、ガードレールに腰掛けて街ゆく人を眺めるだけでも楽しかったです。街ゆく人はみな個性的で、生々しくて、力強かった。ファッションで自分を表現しているように見えました。
“裏原”という言葉が生まれたのもこの頃です。
その頃、古着も大きなブームでした。
男子たちはXXとかリバースウィーブとか、いわゆる“ヴィンテージ”のディテールを一所懸命勉強して、価値ある古着を探していました。
けれども私たちはもっと感覚的に、ただ単純に“かわいい”古着を見つけるのに夢中でした。ヴィンテージ以外はお手頃だったので、若い子達が”チープシック”を気取るにもピッタリのアイテムだったのです。
私はその頃から古着にハマったまま、抜け出せません。それどころか、どんどん深みにハマるばかり。
その理由は何より、無垢だから。
不器用でうまく縫えなかったけどまあいいや、という感じの縫い目、薄〜いアワアワの生地、時間の経過とともにねじれてしまった形、端っこの方にズレたプリント、日に焼けて褪せた色合い、油性ペンで乱暴に書き殴った名前、クールな服に突然のくまちゃんのアップリケ…作為のない偶然のデザインが、とってもチャーミング。
昔どこかで生きていた前の持ち主の気配と、人間のかわいらしさを感じます。自分がいなかった時代に思いを馳せるロマンがある。
服自体がゆるいから、どんな人がどんなふうに着ても受け止めてくれる懐の広さも感じます。
サイズなんか合わないから、こちらが服に合わせる必要があるけれど、それもまた楽し。じゃじゃ馬ならしの感覚です。
古着にルールなんかなし。自由に楽しく着たもん勝ちです!
今回出演してくれたのは、モデル、俳優、ダンサー…才能あるフレッシュな15人。自然な笑顔で自由に振る舞う彼女たちは、古着がよく似合いました。
生き生きと着せ、生き生きと着て、生き生きと撮る、充実の現場でした。本誌にも、YouTubeにアップした動画にも、その空気感が満ちています。
みなさんにもどうか、古着の楽しさを感じていただけますように!
Babymixさんは、2025年の年明けから放送された『ホットスポット』のスタイリングもとても魅力的でした。なんでも、ずっと好きだった古着の、古着っぽさを初めて全開にしたのだとか。好きが溢れたスタイリングです。
まだまだHuluで観れますので、ぜひチェックしてみてください。
(編集S)