幼い頃から聴いている曲や生き方を教えてくれた曲。最近気になっているミュージシャンなど。2020年のいま、音楽を語る上で欠かせない敬愛するアーティストと好きな曲を聞きました。
横田光亮の「ダメな僕」を変えてくれたBUMP OF CHICKENの歌etc.いま、一番好きなミュージシャンを教えてください!

横田光亮
アーティスト
BUMP OF CHICKEN
曲
「Ever lasting lie」
学生時代の自分を変えてくれた
ずっと聴き続ける大切な一曲
僕がバンプ・オブ・チキンに出会ったのは小学5年生の時。台所でおやつを食べていたら、学校から帰ってきた兄がカセットテーププレイヤーから「オンリー ロンリー グローリー」を流し始めたのがきっかけです。当時の僕は太っていて、勉強も運動も何もできなかったけれど、そんなダメな僕の背中をパワフルなメロディが押してくれた気がして、その瞬間に彼らの虜になっていました。
「Ever lasting lie」は《俺の夢ってなんだっけ》という歌詞や、この曲に込められた物語に共感し、どんなに年を重ねても聴くたびに自分の夢を再確認することができます。映像作品を作る前、特に企画を考える前には必ず聴くようにしています。誰に何を届けたいのか、この作品は誰かの人生の支えになるのか。創り出すことだけを目的にしないためにはどうすべきなのかを教えてくれる、僕にとってもっとも大切な一曲です。
『THE LIVING DEAD』
インディーズ2作目となるアルバム『THE LIVING DEAD』。全編物語形式の楽曲で構成されたコンセプト・アルバムとして話題に。
バンプ・オブ・チキン>> 1996年から活動開始。2000年のメジャーデビュー以降、男女を問わず幅広い年齢層に支持されている。
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横田光亮
1991年静岡県生まれ。映画『ヴィニルと鳥』では監督・脚本・編集・主演を務めた。
石田真澄
アーティスト
くるり
曲
「奇跡」
台詞のように曖昧で心地よい
どんな時も励まされる歌
高校生で出会ってから、仕事をしている今も変わらず聴いています。元から音楽の知識がそこまでない方だったため、私は同じバンドの音楽をリピートすることが多いのですが、その一つが、くるり。大学受験の頃もお守りのようにずっと聴いていました。中でも「奇跡」という曲は特別です。《絵に描いたような幸せを分けてもらうその日までどうか 涙を溜めておいて》というフレーズがあり、泣くこと自体は否定しないけれど流さずに溜めておいて、とあたたかく言われているような気がして。岸田繁さんのつくる優しい歌詞とメロディが大好きで、歌詞を読んでいるだけで頑張れていました。ちょうど受験が終わってすぐ開催されたライヴにも一人で行き、泣いていた思い出も大きいですね。台詞のような歌詞と、心地よい曖昧さがあるところがくるりの好きなところ。これから先も何度も助けてもらうことになるんだろうなと思います。
『奇跡』
2011年リリース。同年に公開された是枝裕和監督による映画『奇跡』のオリジナルサウンドトラック。くるりが手がけた17曲を収録。
くるり>> 1996年に京都・立命館大学で結成。デビュー以降、古今東西さまざまな音楽に影響されながら旅を続けるロックバンド。
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石田真澄
1998年生まれ。最新の写真集は『everything will flow』。広告、雑誌などで活躍。
咲月
アーティスト
三宅 純
曲
「Lilies Of The Valley」
人の感情や動きを音で表現することを
教えてくれた、尊敬するアーティスト
アートとファッションの学校をダブルスクールしていた頃、忙しすぎて頭の中が混乱してしまい、自分の思考をうまく表現できなくなってしまったことがあったんです。そんな時にアートスクールの先生から渡されたのが、三宅純さんが音楽を手がけたコンテンポラリーアーティスト、ピナ・バウシュのDVDでした。「Lilies Of The Valley」は、彼女について調べていた時に初めて出合った三宅さんの楽曲。大好きなこの曲を聴くたびに、当時のことを思い出して背筋が伸びます。
また、以前ドキュメンタリー番組で見たのですが、三宅さんはもう何年も髪型を変えていないのだそう。私もそういう自分だけの決まりごとを作りたいと思い、毎朝7時にコーヒーを飲もう !と挑戦してみたのですが、結局三日坊主で終わりました……。いつかは彼のように確固たるスタイルのある人になりたいと、永遠に憧れています。
『Stolen from strangers (+2) 』
2016年リリースのアルバム『Stolen from strangers (+2) 』。07年に発表した同名作にボーナストラックを加えて再発売。
みやけ・じゅん>> 京都府出身の作曲家、編曲家、演奏家。国内外の映画やドキュメンタリー、CMなど数多くの作品に楽曲を提供する。
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咲月
モデルとして活躍するほか、「Bloomoon」というグループでオリジナルの楽曲制作にも挑戦中。
YonYon
アーティスト
TOKiMONSTA
曲
「Steal My Attention」
彼女の音楽に触れた衝撃から
自分のDJスタイルが大きく変化
トキモンスタは、LAを拠点に活動している女性ビートメイカー、ジェニファー・リーによるソロ・プロジェクト。私は2011年にDJをはじめ、彼女の音に触れるまではハウスなどの4つ打ち中心だったのですが、14年の冬、ソウルのクラブ「Cakeshop」でライヴを観て、はじめてビートミュージックやエレクトロニカの魅力に気づいたんです。ビートの浮遊感や音色の美しさ、ヴォーカルの優しい歌声などを「スティール・マイ・アテンション」で体感し、彼女の音楽にどんどん吸い込まれていきました。さらに調べていくうちに、新たな音のジャンルやヴォーカリストの存在を知り、私の音楽やDJスタイルに大きな影響を与えました。垣根を越えて、多くのアーティストと楽曲を作る広いネットワークと、フットワークの軽さがトキモンスタの魅力。私も彼女のような女性アーティストになりたいと思っています。
『Desiderium』
2014年にリリースされたミニアルバム『Desiderium』(Young Art Records)。「Steal My Attention」を含む7曲を収録。
トキモンスタ>> 「ブレインフィーダー」所属のビートメイカー。大病を乗り越え2017年に復活。世界各地でライヴや楽曲制作を行う。
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YonYon
ソウル生まれ、東京育ち。DJ、シンガーソングライター、プロモーターとしてマルチに活動している。
Text: Satoko muroga (RCKT), Momoka Oba