ディズニーヴィランいちのファッショニスタ、クルエラ・ド・ビル。グラマラスなモノクロームの着こなしには、おしゃれのインスピレーションがいっぱい。1961年の『101匹わんちゃん』から、1996 / 2000年の『101』『102』、そして2021年の最新作『クルエラ』まで、スクリーンで私たちを魅了してやまない、クルエラの歴代ファッションを振り返ります。
ディズニーで一番おしゃれなヴィラン。クルエラ・ド・ビルの歴代スタイル1960s−2020s

1961
『101匹わんちゃん』
大きめファーコートが
ヴィランなムード
ディズニー・アニメーション『101匹わんちゃん』はロンドンを舞台に、ダルメシアンの主人公夫妻・ポンゴとパーディタが、誘拐された子犬たちを助けようと奮闘する姿を描いた冒険活劇。ただ、とびきり可愛い犬たち以上に、一際目を引くキャラクターがいる。
それが、クルエラ・ド・ビル。ポンゴたちの飼い主・アニータの友人であるクルエラは、ダルメシアンの毛皮のコートを夢見るがあまり、生まれて間もない子犬たちを手下にさらわせる、生粋のヴィラン。
伝説的アニメーター、マーク・デイヴィスが1956年の同名原作小説を元に生み出した、クルエラの定番スタイルはインパクトが強烈。白黒ツートンカラーのスパイキーヘア。シャープな体型に似合う、タイトなブラックドレス。その上に羽織るのはオーバーサイズのクリーム色のファーコートで、絶妙なバランス感。グローブやハイヒールは目が覚めるような赤で揃え、もちろん口元も赤リップ。白・黒・赤のシックな配色に、グリーンの丸い宝石のピアスとリングで挿し色を。煙管を手に、ワルっぽいエッジの効いた着こなしで、バーガンディカラーの車をかっ飛ばす。
ファッション美学は家の中でも揺るがない。ヘアカーラーを巻いてベッドに入ったクルエラは、胸元にリボンがついた黒いパジャマを着た上に、黒いファーを重ねている。部屋のインテリアもゴシックホラー風でキュート。毛皮への執念だけはいただけないけど、我が道を行くスタイルそのものは憎めない。お利口な格好のアニータよりも全然推せる。
1996 / 2000
『101』『102』
ハード&スウィートな
ビジネスウーマン風
『ブレックファスト・クラブ』のジョン・ヒューズが監督・脚本を手掛け、『101匹わんちゃん』を、時代設定を90年代に移して実写化した『101』。アニメーションで生活が謎に包まれていたクルエラだが、今作では有名ファッションブランド「ハウス・オブ・デビル」のチーフデザイナー兼経営者に。
白黒ツートンカラーの実在の高級車、パンサー・デ・ビルを颯爽と乗り回す足元は、10cm超のスティレットヒール。パワーショルダー中心のコーデは、ビジネスウーマンにふさわしい。素材はファーとレザーがメインで、ビーズ、刺繍、レース、ダチョウの羽などをあしらったディティールも秀逸。
続編の『102』はオリジナルストーリー。催眠療法が効いて動物愛が芽生えたクルエラは、可憐に「エラ」と名乗り、保護犬のシェルターで働き始めるが……。
エラのルックは、ツイードのセットアップ、シルクでできたバラのドレスなど、スウィートな衣装揃い。「もう毛皮なんてまっぴら」と言わんばかりに、ハウス・オブ・デビルのショップバッグやゴミ袋を丸めて作ったバルーンコートも見もの。
両作でクルエラを演じたのは、名優グレン・クローズ。衣装デザインはアカデミー賞を3度受賞しているアンソニー・パウエル。グレンはアニメのクルエラを体現するべく、苦手なハイヒールを履きこなし、ウエストをコルセットで55cmにまで絞って撮影に臨んだそう。アンソニーが「グレンは衣装デザイナーにとっての夢。何にでもトライしてくれるから」と言えば、グレンは「映画衣装の芸術性を示す素晴らしい例だわ」と話す。天才同士の出会いが、映画史に残る名キャラクターを生んだ。
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2021
『クルエラ』
NO FUTUREな
パンクスタイル
最新作『クルエラ』では、クルエラの誕生秘話が明かされる。今作の彼女はまるでフェミニストヒーロー。ときは1970年代、ある事故で母を亡くした少女エステラは自分に自信がなく、生まれながらのツートンカラーの髪を恥じて隠していた。やがて憧れのデザイナー・バロネスとの出会いをきっかけに、ありのままの自分を受け入れると、アルターエゴの“クルエラ”が爆誕。ファッションアイコンとして才能を開花させていく。
衣装デザインは、『マッドマックス 怒りのデスロード』で2度目のアカデミー賞を受賞したジェニー・ピーヴァン。クルエラ役のエマ・ストーンは劇中、驚きの47ルックを着用! パワーショルダーの黒レザージャケット。白いケープに火をつけると現れる、真っ赤なドレス。肩にミニチュアの馬車が乗ったミリタリージャケットに、車1台を覆い隠すほど長いピンクのフリルスカート。配色は基本的にモノトーンで、見せ場のシーンで赤やピンクを取り入れている。ちなみに今作の衣装でリアルファーが使われていないのは、アンチファーの時代ならでは。
ジェニーによれば、クルエラのワードローブは1970〜80年代のロンドンの、パンクムーブメントからインスパイアされたそう。ムードボードには、ヴィヴィアン・ウエストウッド、ドイツの歌手のニーナ・ハーゲン、ファッションブランドの<ボディマップ>や<アレキサンダー・マックィーン>のイメージが並んだ。考えてみればクルエラは1961年の誕生以来ずっと、世間の言いなりにならない反骨心の持ち主で、パンクに辿り着いたのは自然かも。一方でバロネスのルックのインスピレーション源は、1950〜60年代の<ディオール>。対照的なテイストの衣装で、新旧世代がせめぎ合うドラマを盛り上げている。
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『クルエラ』
ディズニー・アニメーション『101匹わんちゃん』のヴィラン、クルエラの誕生秘話を『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーン主演で実写映画化。パンクムーブメント吹き荒れる、1970年代のロンドン。ファッションデザイナーを夢見るエステラ(エマ・ストーン)は、2人の相棒と2匹の愛犬と共に暮らしていた。ある日偶然、以前から憧れていたカリスマ・デザイナーのバロネス(エマ・トンプソン)と出会い、非情で厳格な彼女の下で、エステラは斬新な発想力と才気溢れる想像力によって頭角を現していく。しかしある出来事をきっかけに、エステラは心の奥底にずっと隠していた自分の本当の声に従い、ついに“クルエラ”として覚醒する――。
監督: クレイグ・ギレスピー
脚本: デイナ・フォックス、トニー・マクナマラ
出演: エマ・ストーン、エマ・トンプソン、マーク・ストロング
配給: ウォルト・ディズニー・ジャパン
予告編: youtubeで観る
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