昭和の喫茶店を紹介しつつ、その店をイメージして聴きたくなる80年代の名曲を80s好きライターの水原空気がレコメンド。Vol.10は横浜山手の高台から青空を眺めつつ、かわいいアフタヌーンティーが楽しめる「エレーナ」へ。
前回訪れたのは南千住「オンリー」。
昭和の喫茶店を紹介しつつ、その店をイメージして聴きたくなる80年代の名曲を80s好きライターの水原空気がレコメンド。Vol.10は横浜山手の高台から青空を眺めつつ、かわいいアフタヌーンティーが楽しめる「エレーナ」へ。
前回訪れたのは南千住「オンリー」。
山手「エレーナ」
横浜山手にある「エレーナ」は、元町を見下ろす高台にあり、青空を眺めながらお茶することができる希少な喫茶店。山手本通り沿いにポツリと立つ丘の上の一軒家のような佇まいに、とりわけ惹かれます。開業したのは1975年。オープン当初は横浜港に入る船まで見えたとか。今はビルやリアルな街並みも目に入りますが、この青空は唯一無二。
近所にはきれいな花が咲く庭がいっぱい。散策も自然とときめく。
店内には季節の生花が。青空が見える窓辺は特等席。
近くには山手イタリア山庭園や港の見える公園展望台、外国人墓地、数々の洋館もあり、庭先には緑や花が溢れている。ただ歩いているだけでも気持ちがいい。石川町の駅から「エレーナ」までは結構急な上り坂があるけど、10分弱の時間はハイキング気分で楽しむのが正解。帰りは谷戸坂からゆったりと降りて中華街へ行くもいい。
手作りのケーキやパフェなどスイーツ類も美味だけれど、おすすめは小さなアフタヌーンティーセット。ロールサンドと手作りのプリンに紅茶。ただそれだけなのに、とても幸せな気持ちになれる。何よりささやかな感じがいい。周辺には緑も多く、ただお茶しているだけで、当たり前の日常がとても幸せに感じられるから。
プリンは他の手作りケーキに変えることもできるので、自分なりのセットで楽しんで。
この店の帰り道に聴きたい80年代の名曲
『リンダ』
アン・ルイス
アン・ルイスさんで忘れられないのは、雑誌『オリーブ』の70年代特集で「プロフィールでは横浜の外国人墓地でスカウトされたことになってるんだけど、実は違うのー」と正直に語っていたこと。山手を歩く姿に誰もが憧れた時代だったんだなと、外国人墓地の近くに行くたびに思い出してしまうのです。アンさんは「カーペンターズが好き」とも語っていて、アンさん経由で70年代の曲を辿っていたので、今回はカーペンターズ・リスペクトも感じるこの曲を。
水原空気のひとこと
「エレーナ」がオープンしたのが1975年、アンさんの最初のヒット曲『グッド・バイ・マイ・ラブ』が発売されたのが1974年、カーペンターズの『イエスタディ・ワンスモア』が流行ったのが1973年。『リンダ』は竹内まりやさん作詞作曲で、カーペンターズやアメリカンポップスが好きな、アンさんとまりやさんが組んだオマージュたっぷりの1980年発売の一曲。まりやさんが歌った『リンダ』も含めてどの曲も音楽配信で聴けるので、ぜひ掘り下げてみて。喫茶店を訪れたときはオープン当時のカルチャーを検索するのも楽しみの一つ。当時の気分がお店のここかしこに残っているから。
看板も異国情緒たっぷり。
80年代好きライター。夏の扉を開け秘密の花園へ時をかける探偵物語。GINZAウェブ「松田聖子の80年代伝説」でインタビュアーも。