ボーダーレスでジャンルレス。そんな2020年代を軽やかに体現する才能やムーブメントが次々に登場している音楽シーンの動向を、気鋭のライター、つやちゃんのセレクトでご紹介。
一人でDIYするニューカマー
ミュージシャン新勢力vol.04
「GarageBand」のようなスマホアプリや、「Guitar Hero」のようなゲームをきっかけに、曲を作り始めたZ世代は多い。作曲からレコーディング、バイラル・プロモーションまで、すべてDIYでできる時代になった。結果、10代の青春がノーフィルターで曲になり、瞬く間に何億という人に届いたd4vdの「Romantic Homicide」のようなサプライズが次々に起こり、音楽シーンを丸ごと書き換えるうねりとなりつつある。
デイヴィッド
d4vd
テキサスで育ったd4vdは、17歳の若さで発表したシングル「Romantic Homicide」で大ブレイク。もともとはゲーマーだった彼が同曲を作るのに必要としたツールは、スマホとワイヤレスのイヤホンのみ。ブレイクのきっかけがTikTokだったという点においても、極めて今日的な才能の在り方を体現している。
サヤ・グレー
Saya Gray
トロント育ち、日本人の母とカナダ人の父の間に生まれたSaya Grayは、The 1975やリナ・サワヤマが所属するレーベル「Dirty Hit」のニューカマー。昨年発売のデビュー・アルバム『19 MASTERS』の即興的なクロスオーバー・サウンドが高い評価を得た。ベースをメインにあらゆる楽器を弾きこなし、早くも自分だけの世界を確立している。
モンク
MON/KU
先鋭的なエレクトロニック・サウンドで知られるMON/KU。楽器の演奏経験がほとんどなく、音楽制作ソフトを用いて作り上げたというサウンドは、グリッチー、インダストリアルでありながら人肌の温もりをも感じさせるユニークな仕上がりだ。3月に初アルバム『MOMOKO blooms in 1.26D』を発表、次作もすでに鋭意制作中とのこと。
ユキチカサク/メン
諭吉佳作/men
2003年生まれの諭吉佳作/menは、iPhoneのアプリで作曲を始めた新世代アーティスト。中学生の時に出場した10代のミュージシャン限定のフェスで審査員特別賞を受賞。自身の音楽制作に加え、他アーティストへの曲提供や雑誌への寄稿・執筆、TV番組への出演など活動は多岐にわたる。今年7月に10代最後のEPとなる『archive: EIEN19』をリリース。
Text: Shino Kokawa Cooperation: Tsuyachan