俳優を輝かせ物語を彩る衣装は映画の見どころ。日頃からコーディネートを提案する16名が認めるコスチュームが魅力的な一本を教えてもらった。連載 #ファッションで選ぶマイベスト映画 より。
🎨CULTURE
スタイリスト中井彩乃が選ぶ、衣装が魅力的な映画『メゾン・ド・ヒミコ』
ファッションで選ぶマイベスト映画vol.16
『メゾン・ド・ヒミコ』
(2005)
夢と現の間をゆく
古着ミックスに感化される
「仕立てのいいシャツとスラックスが定番の春彦、ヘアバンドとガウンをまとい病床でも優美な姿の沙織の父。『メゾン・ド ・ヒミコ』で暮らす人々は、衣装だけでキャラクターが説明できてしまいそうな存在感を放っています。そんな彼らに交ざる沙織はレースや刺繡が施されたシャツとエプロンを身につけています。ファンタジーなデザインの服とは裏腹に、髪はボサボサですっぴんです。そのギャップが彼女の不器用さを表しているような気がしました」
個性の強い者たちが織りなすドラマは古着への憧れも膨らませた。
「16歳で鑑賞し、出演者に想いを馳せつつヴィンテージショップを巡りました。おかげで変わった襟のシャツや民族調のワンピースなど、ユニークなものと出合えたんですよ」
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中井彩乃
なかい・あやの>> エリック・ロメール、周防正行、三谷幸喜らが描くクセ強キャラが繰り広げる会話劇のトリコ。韓国の作品もよく観る。
Text&Edit_Mako Matsuoka