スケボー、F1、サッカーにバスケ…センスのいいあの人も、スポーツ観戦に夢中。その魅力を熱く語ってもらいました。観戦気分を盛り上げるファッションアイテムもご紹介!#観戦マニアの偏愛プロダクト
バスケ観戦マニア、〈DIGAWEL〉デザイナー西村浩平の偏愛プロダクト
ユニフォームやコラボアイテムを愛用中
Basketball
プロたちの圧倒的な
問題解決力を観る

「本を読むように映画を観るように、バスケットボールの試合を楽しんでいる。好きすぎて、もはや好きと意識してないくらいの存在です」
淡々と語る言葉から、深いバスケ愛が伝わってくる。西村浩平さんは、リラックス感のあるシルエットや素材使いにファンが多いブランド、〈DIGAWEL〉のデザイナーだ。
「中学時代、BSテレビでマイケル・ジョーダンの神ワザを見て熱中したのが最初のブーム。しばらく離れていましたが、3年前、子どもがバスケットボールを始めたのを機に再び観に行くようになりました」
大人気のBリーグはもちろん、大学生や高校生の試合も好き。週末に街の体育館へ出かけ、市民クラブのプレーを観ることもある。

「子どもの頃はスター選手の個人スキルばかりに目が向いていたけれど、大人になった今、昔はわからなかった魅力に気づいてしまったんです」
それは、一つのチームとして問題を解決していく姿の面白さ。
「バスケットボールはボールがあればストリートでも始められる。持たざるものにも平等に機会が与えられる、アメリカンスポーツらしい競技ですよね。一方で、コートはサッカーや野球に比べてかなり小さく、その狭い中で全員が長い距離を走り回る。ゴール近くでは10人近くがギュウギュウひしめき合うわけです。そういう状況で次々と生じるいろんな問題を、どう解決していくかということが、たぶんバスケットボールの核なんです。だから司令塔であるヘッドコーチの影響力がとても強いし、コーチのアドバイスが選手を通じて、よりダイナミックに可視化されるのがたまらなく面白い」
何が問題かという「問い」の設定や、それをどう乗り越えていくのかというアイデアが、人によってさまざまなのも醍醐味の一つ。
「選手交代が何回でもできるという点も、解決策として見ると新鮮ですし、めちゃくちゃ奇抜な考え方で解決する人もいる。アメリカのカレッジでは、選手を横一列に並ばせて一気にドーンと攻め込むみたいな奇策もありましたね。フィールドが狭いから、僕たち観客にも戦略の意味や解決プロセスが明らかにわかります」
この楽しさはバスケ独特のものであり、仕事にも通じる、と西村さん。
「問題解決って現代のデザインの定義でもあるんです。洋服作りも同じ。他者から与えられる課題でものを生み出す仕事ではないので、“何を作るか”よりもむしろ、“自分は何を問題とするか/どう解決するか”が大事。そこにデザイナーのオリジナリティが表れると思います」

さて、そんな西村さんのお気に入りアイテムは古着が中心。好きなクラブのチームカラーを身につけて観戦する日もあれば、シーズン中に街で着て応援気分に浸ることも。
「ジャケットの下に古着のユニフォームを着るのが、結構可愛いんですよ。これはNBAのダラス・マーベリックスのカイリー・アービングの昔のユニフォーム。僕、アービングが大好きなんです。とにかくスキルが高くて、何でも一人で解決しちゃう。さっき“チームでどう戦うのかを観たい”と話しましたが、選手として惹かれるのは真逆の独走タイプ。やっぱり試合はエンターテインメントなので、葛藤や問題を背負いながらも夢の世界を見せてくれる、破天荒なくらいの選手が好みです」

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西村浩平
にしむら・こうへい>> デザイナー。2006年、東京・祐天寺にセレクトショップ「DIGAWEL」を開店。翌年からブランドもスタート。音楽やストリートカルチャーへの深い造詣を職人的なもの作りに落とし込んだ服で人気。
Photo_Ryuichi Adachi Text_Masae Wako