スタイリスト谷崎彩さんが愛するファッションの話。
もう穿けない!と思っていた最愛デニム。リーバイス®でプロのジーンズリペアを体験 – スタイリスト谷崎彩の超私的ファッション愛 #19

「がーん。大事なジーンズのダメージが広がってしまって、もう穿けない(号泣)」と気づいたのは、今年(2021年)の4月。たくさん保有しているわけではないけれど、リーバイス®のUSA製LVC( LEVI‘S ®︎ Vintage Clothing)ラインを気に入って買い集めていたから、破れたからといって簡単に捨ててしまえるわけがない。
10年以上前に青山のリーバイスストア(現在は原宿に移転)で購入した【LVC:LEVI‘S ®︎ Vintage Clothing】の501 66モデル ホワイトオーク工場のコーン製のデニムを使用したmade in USAジーンズは生産終了となり、貴重になってきたので(そして、とても好き)破れても修理しながら大事に履きたい1本。
2015年Levi’s®︎ 501® CT発売前に、パイロットとして世界中のLevi’s®︎ヴィンテージを集めてカスタマイズした限定501本のうちの1本。インディゴデニムのような風合いはないけれど、ケミカルな色落ち具合とシルエットが好き。お尻がビリビリに破けてしまいました。
いつもケアしてもらっているお直し屋さんに相談したら「デニムだけはウチではできないんですよ。ミシンが違うから外注しているんです」と言われてしまい…。うーん、ジーンズのリペアって、センスがイマイチで仕上がってくると取り返しがつかないし困ったなぁ、なんてしばし悶々と…。
確か、リーバイス®ストアは『一年以内に店舗でお買い上げ頂いた方がレシート持参でいらした場合のみ、リペアサービスを行います』だったはず。ですが、他に良い方法も思いつかず、ダメもとでリーバイス®ストアに問い合わせてみました。すると「今年の5月20日(ジーンズの誕生日)からリーバイス®製品であれば、以前に購入したものでも、古着でも、デニムアイテムに限り有料でリペアサービスを受けられるようになったんですよ」とのこと。ナイスタイミング!
早速、お願いしに行くことに
テーラー歴4年の大永華さん(原宿フラッグシップストア)に今回は相談。Levi’s®︎社のテーラーは、試験を受けLevi’s®︎社製品リペアに関する専門の技術を習得した後に就任できる、かなりの専門職。
「1番大事にしているのはリペアオーダーを受ける際のお客様との1対1の綿密なミーティングです。場合によっては新しく買い替えた方が安い場合もあるので、お値段もその場で算出しています(お支払いはお預かり時に先払いです)。 高くなってもリペアされたい方はその1本に深い思い入れがあるので、お客様の希望が叶うように、数種類あるダメージの修復の仕方も含め、使用する糸の色、刺繍を施す際は図柄や大きさ、刺繍をする位置など細かく相談にのっていきます」
「 新しいジーンズを購入されて、そのままカスタマイズをオーダーされて帰られる方もいらっしゃいますよ。Levi’s®︎社のデニム製品であれば、パンツ以外でもカスタマイズは可能です」(大永さん)
テーラースタッフの濱田ななさんと松下倖大さん。「ご依頼内容が皆さん違い、私たちよりもリーバイス®に詳しい方もいらっゃるし、貴重なヴィンテージを扱わせて頂くこともあり、毎日が日々勉強です」
原宿フラッグシップストアのテーラースタッフは現在3名。どのスタッフも真摯に丁寧に相談にのってくれます。リペアの相談に訪れる時は予約することをお勧めします。
修正箇所を決めていく
まず大事なのがテーラースタッフとの事前ミーティング。ダメージの修正にも「しっかり叩いて隠す」「ダメージを活かしてデザインぽく仕上げる」等、色んなやり方があるので、希望を伝えて可能な方法をしっかり相談しましょう。 修正時に使う糸の色も選べます。洗って、色落ちしていくその先のことも考えてテイラースタッフが適した糸をアドバイスしてくれました。
話し合いの結果、このジーンズでは、破れたお尻とボタンホールを修正、新たに刺繍を施してもらうことにしました。金額はダメージや刺繍の大きさによって違うので、その都度スタッフに要確認です。
テーラーサービスオーダー表。金額表記は税抜き価格となっています
まずは破れたお尻のダメージを修理
ボタンホールの裂けた箇所を直す
Levi’s®︎ 501®といえばボタンフライ。履いていくうちに、『あっ!裂けちゃった』経験がある方も多いのでは?ご心配なく!キレイにリペアしてくれます。
刺繍を施してもらおう!
これはめちゃくちゃ気分が上がります。自分で用意した絵を持ち込み可能(著作権に引っかからないものに限る。また、あまり絵が綴密だと刺繍で再現できない場合もあります)。値段は大きさによって変わり、「手刺繍」「ラインステッチ(ポケット口にオーダーする人が多いそうです)」「機械刺繍」から選べます。私は見本にあったイラストから機械刺繍をチョイス。
さて、どうして今年からこのサービスが始まったのでしょう?
「実は以前からリペアサービスをご希望される声は多かったのです。160年以上もジーンズを作り続けてきた会社ですから、時に隔てなく、ご愛用のリーバイス®製品はリペアして差し上げ、安心してリーバイス®を使い続けて頂きたい。
『buy better wear longer 良いものを永く』はリーバイス®社の標語で、このサービスこそがその言葉を体現していると思っています。 もっと早くから始めたかったのですが、実現させるためにはテーラーショップの拡大、特殊なデニムリペアの技術を習得した人材の育成が必要でしたので、準備に数年を費やしました。
新しい物をどんどん作って沢山売っていくのではなく、良いものを購入して、じっくり大切に付き合って頂きたいと考えているのですよ。『売りすぎない』というのも企業として大事なことではないでしょうか。」
10年以上愛用しているジーンズたちが無事に甦り、愛しさ倍増。また破れたら直してもらい、おばあちゃんになっても穿き続けますから! それから最近ジーンズを新調してなかったし、カイハラデニムになってからのLVCを履いたことがなかったので、もう1本これからの愛用品を増やす事に。詳しいスタッフに相談にのってもらい、まだ試したことがない1937モデル501を何サイズが試着して購入しちゃいました(新品の時のサイズ選びってプロのアドバイスが必要です)。
お洗濯を2回ほどしたら丈あげしてもらいにもう一度、相談にこようと思います。こちらもこれらか末永く付き合ってもらう予定。
よく考えて丁寧にお買い物して、好きな服を大事にし続けていく。とっても気分の良いことですね。I’m so glad with This!